カブトムシと並んで、人気のある昆虫といえば「クワガタ」。クワガタといえばハサミがカッコよく「飼いたいなあ」と思っている方も多いはず!
そこでこのページでは、クワガタの育て方をご紹介。クワガタ初心者さんの不安を一気に解決できるよう、なるべく詳しくお話しします♪ クワガタを大事に育てて、できるだけ長く一緒に過ごしましょう。
―注意―
この記事では、日本に生息するオオクワガタ・コクワガタ・ヒラタクワガタ・ノコギリクワガタの育て方をご紹介しています。その他の種類は、飼育方法が異なる可能性があるのでご注意ください。
1. クワガタの成虫を育てる
産卵までさせることができる、クワガタの成虫・育て方をご説明します。ぜひ参考にしてくださいね。
1-1. クワガタの成虫を飼育する際に、必要なもの
クワガタの成虫を育てる際は、以下のものが必要。成虫を手に入れる前に、必要なものを揃えるのが理想的です。
1-1-1. 飼育ケース
産卵木・転倒防止材・エサ台はかなりスペースをとります。それらが、きちんと入るサイズの飼育ケースを用意しましょう。また、発酵マット(ケースに敷く土のようなもの)を深めに詰めるので、高さも十分にあるものがおすすめです。
以下ショップでも飼育ケースが販売されていますよ♪
1-1-2. 発酵マット
産卵木に卵を産みつけるオオクワガタ・コクワガタは、クヌギやコナラの木を砕いた、おが屑のようなマットでOK。産卵木とマット両方に卵を産むヒラタクワガタ・ノコギリクワガタは、高栄養マットを使用しましょう。
また、湿り気が足りないマットは、加水をしてから飼育ケースに入れます。マットをバケツやたらいに出し、水を入れましょう。マットを手で握り、水は滴らないが、手の後がつくくらいまで湿らせます。
さらに、購入するマットによってはガス抜きをしなければなりません。ガス抜きの方法については、カブトムシの飼い方に関する別ページでご紹介していますので、そちらをご覧ください。このページ最後【関連記事】にリンクがあります♪
1-1-3. エサ
クワガタのエサは、昆虫用ゼリーが一番いいです。スイカやメロンは水分が多すぎるのでNG。もし、ゼリー以外にも何かあげたい場合はリンゴやバナナにしましょう。
1-1-4. エサ台
マットを汚さないためにも、エサ台の利用をおすすめします。
1-1-5. 霧吹き
霧吹きを使って、マットの水分を補給しましょう。
1-1-6. 産卵木
2本ほど産卵木を入れましょう。産卵木は下準備が必要です。以下の手順に沿って、やってみてくださいね。
―産卵木の下準備―
(1)産卵木は1日水に浸けます。浮いてきてしまい、全体が浸からない場合は重石を置きましょう。
(2)産卵木を水から取り出し、日陰で半日間干します。
(3)ステーキナイフ・金属製のヘラ・マイナスドライバーなどを使い、産卵木の皮を削ぎます。手に怪我を負わないよう気をつけてくださいね。
(小さなお子さんには、やらせない方がいいかも…。親御さんがやってあげましょう)
1-1-7. 転倒防止材・樹皮・広葉樹の葉
クワガタがひっくり返ってしまわないように、転倒防止材・樹皮・広葉樹の葉をマットの上に置きましょう。
1-1-8. 虫よけシート
コバエの侵入を防ぐだけでなく、ケース内の乾燥やニオイも防げるタイプがいいでしょう。市販のものだと、マルカンの「虫よけシート1番」がおすすめです。Amazonでも販売しています。
1-2. クワガタの成虫、お世話
具体的なお世話の方法を見ていきましょう。気温が高い時期と、低い時期でお世話の方法が違うので、分けてお話ししていきますね。
1-2-1. 気温が高い時期
クワガタが活発に動くあたたかい季節は、以下のように飼育するといいです。上手くいけば、クワガタが産卵をします。
―あたたかい季節の飼育方法-
(1)飼育ケースの下部5cmは、ギュッギュッと固めにマットを詰めます。
(2)産卵木を横向きに入れます。
(3)産卵木が少し見える程度まで、マットを詰めます。このときは、固めに詰める必要はありません。
(4)転倒防止材・樹皮・広葉樹の葉・エサ・エサ台・虫よけシートをセットしましょう。
(5)飼育ケースにクワガタのオスとメスを入れます。
(オスはとくに喧嘩っ早いようです。オスがメスを傷つけることもあるので、よく観察し、相性が悪そうであれば別ケースに分けて飼育してください)
(6)飼育ケースは直射日光が当たらない、ひんやりとした場所に置きましょう。25度くらいがベストです。
(7)衛生面を考え、ゼリーは毎日換えることをおすすめします。
(8)マットの表面が乾いたら、霧吹きで湿らせましょう。
1-2-2. 気温が低い時期
オオクワガタ・コクワガタ・ヒラタクワガタは越冬をし、翌年も活動することが可能。
越冬せずに活発に動いていると、クワガタの体力はどんどん消耗してしまいます。そうなると、長生きができなくなってしまうため、気温が15度を下回るようになったら、越冬の準備をしましょう。
―越冬させるための飼育方法―
(1)飼育ケース7分目まで、湿らせたマットを、手で軽く押さえながら敷きます。
(2)転倒防止材・樹皮・広葉樹の葉・昆虫ゼリー・虫よけシートをセット。昆虫ゼリーを入れる理由は、成虫が土から出てきて、エサを食べることがあるからです。
(3)越冬させるクワガタをケースに入れます。
(4)冬は暖房が入っていない室内で、常温管理(5度~10度)をしてください。
(暖房の効いた温かい部屋だと、クワガタが越冬体勢に入ることができません)
(5)ゼリーは週1回くらいで、新しいものと交換するようにしましょう。
(6)マットの表面が乾いてきたら、霧吹きで湿らせます。
2. クワガタの幼虫を育てる
次に、クワガタの幼虫・飼育方法をご紹介していきます。
2-1. 親(成虫)がいるケースから、いつ幼虫を取り出せばいいの?
成虫がいる飼育ケースの産卵木・マットに、わずか数ミリの白い幼虫が! その場合は、すぐに幼虫を取り出すのではなく、しばらくそのままにしておきましょう。
1ヶ月くらいたってから取り出し、幼虫用の飼育環境に移します。幼虫は菌糸ビンで育てるのがおすすめです。菌糸ビンとは、細かく砕いた木と、キノコの菌が入ったビン。菌糸ビンで育てると、大きく立派な成虫に育つ可能性が高いです。
2-2. クワガタの幼虫を飼育する際に、必要なもの
クワガタの幼虫を育てる際に、必要なものは以下の通りです。
2-2-1. 菌糸ビン
始めのうちは800ccの菌糸ビンでOK。クワガタの幼虫は、菌糸ビンの白い部分をよく食べます。
2-2-2. スプーン
クワガタの幼虫を、素手で触るのはNG。幼虫が火傷をしてしまいます。幼虫を移動させるときは、スプーンを使用しましょう。
2-3. クワガタの幼虫、お世話
クワガタの幼虫は、同じビンで複数飼育すると、殺し合う可能性があります。そのため、個別飼育をするようにしてください。また、クワガタの幼虫は1年で成虫になるとは限りません。成虫が卵を産んだ時期や、幼虫の飼育環境によって異なります。
―幼虫の飼育方法―
(1)用意した菌糸ビンに、幼虫が入るサイズの穴をあけます。
(2)幼虫を入れ、上から菌糸ビンの木くずをそっとかぶせます。
(3)23度くらいの場所に菌糸ビンを置きます。
(4)幼虫が菌糸ビンの白い部分を、7割~8割食べたら、新しい菌糸ビンと交換します。幼虫の成長に合わせ、交換前の菌糸ビンよりも大きいものと交換しましょう。
(5)幼虫がサナギになったら、絶対にビンを動かさないようにしてください。サナギの部屋(蛹室)が壊れると、上手に羽化できなくなります。
(6)サナギが成虫になったら、一旦そのまま放置しましょう。成虫は蛹室で、体の機能を整えています。(この期間はエサを食べません)
クワガタの成虫が蛹室から出てきたら、成虫用の飼育ケースに移しましょう。エサを食べて本格的な活動を始めます。
3. クワガタの飼育Q&A
クワガタ飼育に関する疑問にお答えしていきます!
3-1. 各クワガタの特徴や寿命を知りたい
オオクワガタ・コクワガタ・ヒラタクワガタ・ノコギリクワガタの特徴は以下の通りです。
3-1-1. オオクワガタ
オオクワガタの成虫は、2年~3年ほど生きます。(中には5年以上生きる個体もいるんだとか!)
―オオクワガタ・オス―
体長は3cm~8㎝。黒色。
太くて強そうなアゴの持ち主で、羽には縦線がうっすらと入っています。
―オオクワガタ・メス―
体長は2.5cm~5cm。黒色。
胸部がツヤツヤとしており、羽に点が連なったような縦線があります。
3-1-2. コクワガタ
コクワガタの成虫は、1年~3年生きます。名前の通り、他のクワガタと比べると小さめ。
―コクワガタ・オス―
体長は2cm~5.5cm。黒色。
アゴが細く、羽部分がザラザラとしています。
―コクワガタ・メス―
体長は2cm~3cm。黒色。
胸部にツヤがあり、羽部分はオスと同じようにザラザラ。
3-1-3. ヒラタクワガタ
ヒラタクワガタの成虫は、1年~3年生きます。平たい体が特徴です。
―ヒラタクワガタ・オス―
体長は2.5cm~8cm。黒色。
羽がツヤツヤとしており、アゴの先端に細かいギザギザがあります。
―ヒラタクワガタ・メス―
体長は2.5cm~4cm。黒色。
全身がツヤツヤとしており、前脚ががっしりとしています。
3-1-4. ノコギリクワガタ
ノコギリクワガタは基本的に越冬をしません。
そのため、寿命が短く、成虫になってからは1年ちょっとしか生きません。
―ノコギリクワガタ・オス―
体長は3cm~7.5cm。茶色い個体が多い。
大きな個体だと、アゴが内側に向かって大きくカーブしています。
小さな個体だと、カーブが浅く、どちらかというと真っすぐに近くなります。
―ノコギリクワガタ・メス―
体長は2.5cm~4cm。メスも茶色い個体が多いです。
他クワガタのメスより丸みがあり、卵のような形をしています。
3-2. クワガタの飼育ケースに、コバエが発生してしまいました…
コバエを発生させないためにも、クワガタの飼育ケースには、予め虫よけシートをセットしておくのが理想。もし、シートをセットしておらず、コバエを発生させてしまった場合は、ケースの近くにハエ取り棒を置きましょう。それでもコバエの量が減らない場合は、マットを交換してください。
3-3. クワガタの成虫に白い小さな虫が…
クワガタの成虫についた、小さな白い虫は恐らくダニです。歯ブラシを使い、優しくダニを取り除きましょう。
3-4. クワガタの成虫がエサを食べません
クワガタがエサを食べないのは、以下3つの理由が考えられます。
3-4-1. サナギから成虫になったばかり
サナギから成虫になりたての頃は、エサを食べません。しばらく様子を見ましょう。
3-4-2. そろそろ越冬体勢へ
気温が低くなると、オオクワガタ・コクワガタ・ヒラタクワガタは食欲があまりなくなります。越冬の準備を始めましょう。
3-4-3. エサが嫌い
エサが合わないのかもしれません。思い切って、新しい種類にチェンジ!
3-5. 幼虫を飼育している菌糸ビンからキノコが出てきた
キノコに菌糸ビン内の栄養分を吸い取られてしまいます。すぐに取り除きましょう。
3-6. サナギの蛹室を壊してしまった/ ビンの底で蛹室を作ってしまった
壊れた蛹室や、ビンの底では、羽化不全を起こしてしまう可能性が大。人工蛹室へとサナギを移しましょう。
人工蛹室は、園芸店で入手できる「オアシス」という吸収性が優れたスポンジを使い、手作りすることができます。
―人工蛹室の作り方-
(1)楕円形をイメージしながら、若干斜め下に向かってオアシスを掘ります。スプーンを使って掘るのがおすすめです。
楕円形の大きさは、サナギの体長2倍、横幅1.5倍を意識してください。
(2)オアシスに水を含ませ、掘った箇所を指でなめらかに整えます。
(3)オアシスを飼育ケースに入れ、そっとサナギを入れます。傾斜の高い部分に頭、低い部分におしりがくるようにします。
(サナギのおしり部分が、グルグルと動くかもしれません。移動中に、驚いて落とさないようにしてくださいね!)
(4)乾燥を防止するため、虫よけシートを飼育ケースにセットします。
飼育途中でオアシスが渇いてきたら、ケースの底に水を入れましょう。サナギに水がかからないよう、細心の注意を払ってください。
4. クワガタを捕まえに行こう!
思い切って、クワガタを捕獲しに行くのも楽しいですよ♪ きっと良い思い出になるはずです。
捕獲の方法については、カブトムシの場合と一緒。別ページ・カブトムシについての記事で詳しく説明しているので、「クワガタを捕まえに行きたい!」という人はぜひ読んでみてくださいね。本ページ下部【関連記事】にリンクがあります。
5. まとめ
人間と比べるとずいぶん小さいクワガタ。そんなクワガタにも、もちろん命があります。
クワガタを飼育していると、途中で「大変だなあ」と思うことがあるかもしれませんが、決して投げ出さず、最後までしっかりと面倒を見てあげてください。責任を持って育てることが、何よりも大切です。愛情を込めて育てると、クワガタがますます可愛く見えてきますよ♪
【関連記事】
‥マットのガス抜き方法や、捕獲方法などをご紹介しています。
【参考書籍】
・安藤 “アン”誠起『カブトムシとクワガタ飼いかた&図鑑―カブ&クワのオールカラー図鑑』実業之日本社、2008
・安藤 “アン”誠起『カブトムシ&クワガタ百科―生態、特徴、採集から飼い方まで (子供の科学★サイエンスブックス)』誠文堂新光社、2012