「カブトムシ」といえば、多くの子供たちの憧れの昆虫! 夏本番間近になると、カブトムシを売るお店が増え、お子さんもカブトムシを目にする機会が増えると思います。
もしかしたら、あなたもお子さんに「カブトムシを飼いたい!!」とせがまれているかもしれませんね…。
そこで今回は、「カブトムシの飼い方の基本」をお話ししていこうと思います。このページを読んで、カブトムシについて学び、万全の状態でカブトムシの飼育を始めましょう♪
では、カブトムシの飼い方をご説明していきます!
―この記事を読む際の注意点―
このページでご紹介している飼育方法は、以下画像の「国産のカブトムシ」の飼育方法です。
1. カブトムシの成虫を育てよう!
まずは、カブトムシの「成虫」の育て方を見ていきましょう。また、ここでご紹介している育て方は、「産卵までさせること」を考えた飼育方法です。
1-1. カブトムシの成虫を、飼育する際に必要なもの
カブトムシを飼育するためには、以下のものが必要です。中には下準備が必要なものもあるので、カブトムシの成虫を購入する前にぜひ準備しておきたいですね。
1-1-1. ケース
カブトムシが窮屈さを感じないように、きちんと幅があるものを選びましょう。また、発酵マットを15cmくらい詰めることとなるので、深さもきちんとある飼育ケースがおすすめです。
以下のショップでも飼育ケースが販売されていました!
1-1-2. 発酵マット
ケースに敷く土です。発酵マットは実際に使用する前に、以下の下準備が必要です。「結構時間がかかるなあ…」と思うかもしれませんが、カブトムシの大切な命を扱うこととなるので、しっかりと責任を持って行いましょう!
―発酵マットの下準備・手順-
(1)発酵マットのガス抜きをしましょう。大きめのたらいやレジャーシートなどに、購入した発酵マットを出します。そのまま、1週間くらい外で放置します。「自然な土のにおい」になればOKです。
(2)発酵マットに湿り気をもたせます。発酵マットに水を加え、手でギュッと強く握った時に、水はしたたらないが、手の形がつくくらいに調整します。
(3)飼育ケースに発酵マットをつめていきます。詰める発酵マットは2層に分け、下の層(約5cm)は土の表面をギュッと押しながら固く詰めていきます。上の層(約10cm)は固く詰める必要はありません。ちょうど下のイラストのような感じです。
※固く詰めた場所までメスが潜り、卵を産みます。(マット表面に産卵してしまう場合もありますが…)
(4)発酵マットをケースに詰めたら、ケースのフタを閉めて3日ほど置きます。3日たったら、マットが熱を持っていないか確認します。熱を持っていた場合は、もう一度(1)からやりなおします。
1-1-3. 霧吹き
マットが乾燥しすぎるのを防ぐために必要です。
1-1-4. 止まり木
ケース内に止まり木をいくつか置きましょう。カブトムシがひっくり返ってしまっても、自力で起き上がれるようにするためです。
1-1-5. エサ
カブトムシ用のゼリーがおすすめです。もしフルーツもあげたい場合は、バナナ・リンゴがいいでしょう。「カブトムシにはスイカ!」というイメージがあるかもしれませんが、スイカは水分が多すぎるため、あまりおすすめできません。
1-1-6. エサ台
エサ台があると、カブトムシはエサを食べやすいようです。また、発酵マットの上にエサを直接置くと、発酵マットが汚れる原因に。そう考えると、エサ台があった方が衛生的でいいですね。
1-1-7. 虫よけシート
虫よけシートをケースとフタの間に挟み、ケースにコバエが侵入してしまうのを防ぎましょう。おすすめは、マルカンの「虫よけシート1番」。このマルカンのシートは、コバエの侵入を防ぐだけでなく、ケース内の嫌なにおいを抑え、さらにマットの乾燥防止にも効果的だそうです。
1-2. カブトムシの成虫、お世話
必要なものを揃え、ケースにセットしたら、早速カブトムシの成虫を入れていきましょう。カブトムシ飼育初心者さんの場合、ケースに入れる成虫は、オスとメス1匹ずつがおすすめです。ケースは、直射日光が当たらない涼しめの場所に置きます。
エサは毎日交換し、新鮮さをキープ!
マットの表面が乾いてきたら、霧吹きでシュッシュッと水分を足してあげてください。
1-3. カブトムシの成虫に関する、5つの疑問にお答え!
カブトムシの成虫を飼育していると、以下のような疑問が出てくると思います。1つ1つお答えしていくので、参考にしてくださいね♪
1-3-1. ケース内にコバエが発生!どうしよう…
予めコバエに備えて虫よけシートを設置しておくのが一番ですが、もし設置しておらず、コバエが発生した場合は「ハエ取り棒」をケース近くに置きましょう。
コバエの繁殖がなかなか止まらない場合は、思い切ってマット交換を!
1-3-2. カブトムシの成虫を大きくしたい!
残念ながら、カブトムシは成虫になると、もう大きくなりません。成虫の大きさについては、幼虫の間、どれだけいい環境で成長できるかにかかっているようです。
1-3-3. カブトムシの成虫が、エサをあんまり食べないのはなぜ?
カブトムシの成虫が、エサをあまり食べない原因は以下の3つが考えられます。
- サナギから成虫になってそんなに時間が経っていない場合、成虫はあまりエサを食べません
- 置いているゼリーが好きでない可能性も。ゼリーの種類を変えてみましょう
- もうそろそろ寿命という場合も…
どれが当てはまりそうか考えてみてくださいね。
1-3-4. カブトムシの成虫ってどれくらい生きるの?
カブトムシの成虫は、長くて3カ月くらい生きるようです。寿命をしっかり全うできるように、大切に大切に育ててあげてくださいね♪
1-3-5. カブトムシの成虫が亡くなった後、幼虫(卵)がいるか確認したい
亡くなったカブトムシの成虫、残った成虫用のエサはケースから取り出します。
それから2週間ほどしたら、優しく丁寧に、少しだけケース内のマットを掘り返してみてください。もしかしたら、カブトムシの小さな幼虫(卵)がいるかもしれません。その場合は、成虫がいた飼育ケースをしばらく置いておきましょう。もし、マットの表面が乾いてきたら、霧吹きで水分を補給してあげてくださいね。
幼虫が大人の小指くらいの大きさになったら、幼虫のための飼育ケースに移動させましょう。
2. カブトムシを幼虫から育てる場合
この章では、「カブトムシを幼虫から育てる場合」についてお話ししていきます。幼虫から育てた子が、無事に成虫になるととっても嬉しく思うでしょう♪
2-1.カブトムシを幼虫から飼育する際に必要なもの
カブトムシの幼虫を育てる際は、何が必要なのでしょうか。詳しく見ていきましょう!
2-1-1. ケース
深さのあるケースを用意してください。(幼虫は2ℓのマットに対して1匹飼育が理想的)
「幼虫は深めのビンで飼育する」「2ℓペットボトルで飼育する」という方もいるようです。
ビンで飼育する場合は、フタにいくつか穴をあけ、空気が入るようにしてあげてください。ペットボトルで育てる場合も、ペットボトルを加工して利用しましょう。動画投稿サイト・YouTubeにも、ペットボトルを使った、カブトムシ幼虫の飼育器の作り方がありました! ぜひ調べてみてくださいね。
2-1-2. 発酵マット
発酵マットは幼虫のエサとなります。
そして、その発酵マットは、幼虫を入れる前に下準備を行わなければなりません。発酵マットの下準備の手順は、このページの1章「1-1-2. 発酵マット」でご紹介した方法と基本的に一緒です。ただし、マットの敷き方だけ違うので注意しましょう。
幼虫用にマットを敷く場合は2層に分ける必要はなく、マットを固めながら入れる必要もありません。
また、「幼虫は常にマットの中にいるから」といって、ケースいっぱいにマットを入れないようにしてください。カブトムシの幼虫は、マットの環境が悪くなったら、上に出てくるので、その分のスペースをフタとマットの間に空けておくようにします。
2-1-3. 霧吹き
マットが乾燥してパサパサになってしまわないよう、マット表面が乾いてきたら水を吹きかけましょう。
2-1-4. 虫よけシート
虫よけシートについても、1章の「1-1-7. 虫よけシート」でお話ししています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
2-1-5. スプーンや軍手
カブトムシの幼虫にとって、人の体温は熱すぎます。幼虫が弱ってしまうのを防ぐため、幼虫をケースに入れる際はスプーンや軍手を使いましょう。
2-2. カブトムシの幼虫、お世話
次に、カブトムシの幼虫の育て方を見ていきます!
まず、カブトムシの幼虫をケースに入れる前に、マットに幼虫サイズの浅い穴を掘ってやりましょう。
その穴に幼虫を入れ、幼虫がマットに潜り始めたら、ふんわりとマットをかけてあげます。(幼虫をケースに入れる際は、「スプーンですくう」or「軍手で持つ」というのを忘れずに!)
あとは、直射日光が当たらない場所にケースを置いてやり、マットが渇いてきたら霧吹きで水を吹きかけ湿らせます。
2-3. カブトムシのサナギ、お世話
カブトムシの幼虫はサナギになる前に、蛹室(ようしつ)という、サナギの間過ごしていくための空間(空洞)をマットの中に作ります。その蛹室を作り終えると、幼虫は前蛹(ぜんよう・完全にサナギになる前の姿。幼虫の色が茶色っぽくなり、動かなくなります)となり、すんごく繊細な状態に。
ケースの底や側面から、もしかしたら蛹室から見えるかもしれません。もし、蛹室がケース外から見えない場合、少し心配になるかもしれませんが、どうか掘り起こさないでください。蛹室が壊れてしまうと、上手く成虫になれなかったり、死んでしまう恐れがあります。
カブトムシの幼虫がサナギになるのは5月以降。5月から、成虫が地上に出てくるまでは、ケースはなるべく動かさず、そっと見守りましょう。もし、マットの表面が乾燥しているようであれば、霧吹きで水をかけてやります。
2-4. カブトムシの幼虫・サナギに関する、4つの疑問にお答え
カブトムシの幼虫・サナギに関する4つの疑問にお答えしていきます!
2-4-1. カブトムシの幼虫がマットの上に出てきた…。どういうこと?
マットの上に、カブトムシの幼虫が出てきてしまう場合もあります。その場合はマットの環境が悪くなっているのかもしれません。以下に当てはまらないか考え、すぐに改善策を打ちましょう。
- マットの上に黒い楕円形のものがたくさんありませんか?
それは幼虫のフンです。幼虫のフンがいっぱいになると、幼虫がマットの上に出てきてしまうことがあります。マット交換をしましょう。
- マットに含まれる水分量は適切ですか?
マットは、手で強く握り、水がしたたれないくらいに湿っている状態がいいです。水分量があまりにも多すぎたり少なすぎたりすると、幼虫が地上に出てきてしまいます。マットの水分量を調整しましょう。
- 発酵マットの量が少なくなってませんか?
幼虫にとって発酵マット=エサです。マットの量が少なくなっている場合は、マット交換をしましょう。
- ケースのサイズが小さすぎませんか?
幼虫が大きくなり、ケースのサイズが合わなくなってきたのかもしれません。大きなケースにしてあげましょう。
- マットが再発酵しているかもしれません
他の原因に当てはまりそうにない場合は、マットの再発酵が原因かもしれません。マットは再発酵すると、マットからガスや熱が放出されます。その結果、幼虫が苦しくなり、マット上に出てきたのかもしれません。その場合は、違うマットに替えてやるのが一番。もし替えのマットがない場合は、マットを攪拌し、ケースのフタを開けてマットを冷ましましょう。
2-4-2. コバエ対策はどうすればいいの?
このページの一章「1-3-1. ケース内にコバエが発生!どうしよう…」で説明しているので、そちらを参考にしてくださいね♪
(ただし、幼虫がサナギになる時期は、マット交換はなるべく避けた方がいいです。どうしてもサナギになる時期にマット交換をする場合は、「人工蛹室」を作る覚悟&準備をしましょう)
2-4-3. サナギの人工蛹室って、どうやって作ればいいの?
「誤って蛹室を壊してしまった」「幼虫がマットの中で上手に蛹室を作れず、マット上でサナギになってしまった」
そのような場合は、人工的に蛹室を作ってやる必要があります。人工蛹室はトイレットペーパーの芯で作ることができますよ。
―トイレットペーパーの芯を使った人工蛹室-
(1)サナギの高さより、少し高さがでるよう、トイレットペーパーの芯を切ります。
(2)芯の周りにマットを敷き、固定します。(マットはパサパサのものではなく、適度に湿ったものの方がよいでしょう)
(3)軍手でカブトムシのサナギをそっと掴み、優しくトイレットペーパーの芯の内側に入れます。その際、頭が上にくるようにしてください。
※サナギのお尻付近が動くことがあります。びっくりして落とさないようにしてくださいね!
他には切り花用のオアシスに穴を掘り、人工蛹室を作る方法もあります。また、すぐに手に入る場合は、市販の人工蛹室を使用してみるのもいいですね。
2-4-4. サナギから成虫の姿になったのに、なかなか地上に出てこない…
カブトムシの成虫は、羽化してから1週間程度、蛹室で過ごします(その間に身体中の機能が整う)。そのため、サナギから成虫になってすぐに、蛹室から出てこなくも心配する必要はありません。
3. カブトムシを捕まえに行こう
お店でカブトムシを購入する方が多いと思いますが、広葉樹の雑木林へ親子で「カブトムシ捕り」に行ってみても楽しいと思います♪
3-1. カブトムシを捕獲する際に必要なもの
以下がカブトムシを捕獲する際に、最低限必要なものです。忘れないで持って行ってくださいね♪
- 虫捕り網
- 虫かご
- 汗拭きタオル
- 虫刺され対策グッズ
虫刺されを防止するために、虫よけスプレーを体にかけておきましょう。携帯用の虫よけを持って行ってもいいですね。また、虫に刺されたときの薬もあると安心です。
- 懐中電灯
早朝や夜に探しに行く場合は絶対!なるべく明るい光の懐中電灯を選びましょう。
- 飲み物
水分はこまめにとって、お子さん・親御さんともに、脱水症・熱中症にならないように気をつけてくださいね。
- 軍手
「カブトムシの成虫を掴むことにまだ抵抗がある…」という場合は、軍手を持って行き、軍手をした手で成虫を掴むといいでしょう♪また、軍手をしていることで、手の怪我を防ぐことができます。
3-2. こんな服装をしていこう
カブトムシを捕獲する際は、怪我や虫刺され防止のために、帽子をかぶり、長袖・長ズボンを着るようにしてください。濃い色は、スズメバチが敵と間違えて襲ってくる可能性があるため、明るい色を選ぶといいですよ。
靴は動きやすい靴(スニーカーや登山靴)、道がぬかるんでいる可能性があったり、蛇がいるような場所に行くときは長靴を履きましょう。
3-3. カブトムシの捕まえ方
カブトムシ捕獲は、7月半ば~8月半ばの早朝or夜に行うのがおすすめ。
そして、カブトムシは、クヌギやコナラなどの樹液がエサです。そのため、クヌギやコナラの木にくっついていたり、樹液を吸っている可能性があります。雑木林に入ったら、まずクヌギやコナラの木を探してみましょう。
(ただし、暗い中で探すのは結構大変。そのため、日の当たっている間に、どこらへんに樹液が出ているクヌギ・コナラがあるのか、下見に行った方がよいでしょう)
また、カブトムシ捕獲のために、罠をしかけておくのもいいでしょう。バナナ・焼酎・砂糖を密閉できる袋に入れ、1日発酵させます。それを日が出ている間、雑木林の木の幹にたっぷり塗り仕込んでおきます。夜になるとカブトムシが来ているかもしれません♪
4. まとめ
これでカブトムシに関するページは終了です!
カブトムシを手に入れる前に、準備をしっかりとし、万全の状態でカブトムシをお迎えしましょう。お迎えした後は、愛情を込めて、大事に育ててあげてくださいね。
あなたのお家のカブトムシが、どうか長生きしますように♪
【参考書籍】
・安藤 “アン”誠起『カブトムシとクワガタ飼いかた&図鑑―カブ&クワのオールカラー図鑑』実業之日本社、2008
・安藤 “アン”誠起『カブトムシ&クワガタ百科―生態、特徴、採集から飼い方まで (子供の科学★サイエンスブックス)』誠文堂新光社、2012