夏休みの宿題といえば「読書感想文」。
「読書感想文を書くことがすごく苦手!」というお子さんをお持ちの親御さんも、かなり多いと思います。
読書感想文といえば、
- 子供がなかなか読書感想文を書き出さない
- 文字数に沿って書かせるのが難しい(小学校低学年は800文字以内、中学年・高学年は1200文字以内、中学生は2000文字以内が目安。文字数が少なすぎるのもよくない)
- 原稿用紙の使い方を学ばせなければならない
など、親御さんにとっても大変なことですよね…。
そこで今回は、読書感想文についてとことんお話ししていこうと思います!少しでもあなたのお子さんの力になれれば、とても嬉しいです♪
―このページはこんな人におすすめ―
このページは、小学生・中学生のお子さんがいる親御さんにおすすめのページです。
目次
1. 読書感想文を書くときの8つのコツ
まずは、「読書感想文を書くときのコツ」からお話ししていきます。
今からお話しするコツは、以下の8つ。
- 親御さんが読書感想文を思い出す
- 「ふせん」を貼りながら本を読ませる
- 子供に本の感想を聞く
- 「集中すればすぐに終わる!」と言ってあげる
- 「下書き用」の原稿用紙を用意する
- 「なぜその本を選んだのか」を書かせる
- 登場人物になったつもりで、読書感想文を書かせる
- 「あらすじ」は書いてもOK!
では、ひとつずつ詳しく見てみましょう。
1-1. 読書感想文を書くときのコツ【親御さんが読書感想文を思い出す】
親御さんとお子さんが、一緒になって読書感想文に取り組む場合は、まずは親御さんが「読書感想文ってどんなものだったか」を思い出しましょう。
読書感想文の良いお手本として、「青少年読書感想文全国コンクール」で賞を取った文章を見るのがおすすめ。どれも良く書けていてすごく参考になります。
(「青少年読書感想文全国コンクール 入賞者リスト」とインターネットで検索すると出てきます)
お手本を知り、「こんな感じで書くのか」とイメージしてから、子供と一緒に読書感想文に取り組むとスムーズに進みますよ♪
(ちなみに、読書感想文全国コンクールなどで入賞すると、表彰状や副賞をもらうことができます。それを子供に伝えると、子供の「やる気」がアップするかもしれませんね♪)
1-2. 読書感想文を書くときのコツ【「ふせん」を貼りながら本を読ませる】
子供が本を読む際は、近くに「ふせん」を置いてあげましょう。
そして、子供が「ここには良いことが書かれている」「大事なことが書かれている」と感じたページには、ふせんを貼らせます。そのふせんを貼ったページは、後々感想文を書くときの「ネタ」になりとっても便利。
「感想文にどんなことを書こうかなあ」と子供が悩んだときは、ふせんがついているページを見直させましょう。
※「ふせんを貼りながら読む」というのは、小学校低学年のお子さんには難しいかもしれません。その場合は、無理にふせんを貼らせなくて大丈夫です。読むことだけに集中させてあげましょう。
1-3. 読書感想文を書くときのコツ【子供に本の感想を聞く】
子供に読書感想文を書かせる前に、親御さんが本の感想を口頭で聞くようにしましょう。
子供は親御さんに感想を話すことで、本の内容や、自分が感じたことを、頭の中で整理整頓することができます。
そうすると、いざ子供が読書感想文を書き始めたときに、「頭の中でまとまらなくて、全然書けない」ということにはならないでしょう。
もし、子供が積極的に感想を言わない場合は、「お話の主人公は誰だった?」「どんな人が出てきた?」など、親御さんから本について質問してみましょう。
1-4. 読書感想文を書くときのコツ【「集中すればすぐに終わる!」と言ってあげる】
いざ原稿用紙を前にすると、だらけてしまう子供っていますよね…。
そんな子供には、「集中すればすぐに終わるよ!だから、ちょっとだけ頑張ってみよう!」と励ましの言葉をかけてあげてください。
このページの筆者である私は、普段から文章を書く仕事をしているのですが、「文章を書く」ということは、集中さえしてしまえば一瞬で終わります♪
そして、子供を集中モードにするために、「作業用BGM」をかけてみるのがおすすめ。これは「私がめっちゃ効くな」と思っている方法です。
作業用BGMにふさわしいのは、歌が入っていない曲。言葉が耳に入ってこないので、書くことだけにぐっと集中できます。
また、YouTubeで「勉強 音楽」と検索した際に出てくる曲もいい感じです♪
ぜひチャレンジしてみてください。
1-5. 読書感想文を書くときのコツ【「下書き用」の原稿用紙を用意する】
親御さんは、最初から「パーフェクトな感想文」を子供に求めないようにしましょう。
最初は感想文の良し悪しを気にせず、「下書き用の原稿用紙」に子供にどんどん書かせてください。この時点では文字数についても気にする必要はありません。
まずは親御さんが「子供の書く意欲」をきちんと受け入れ、あたたかく見守ります。
そして書き終わった下書きをもとに、指定された文字数にする、文章を整えるなどのブラッシュアップする(=提出する用の文章を書く)ようにしましょう。
1-6. 読書感想文を書くときのコツ【「なぜその本を選んだのか」を書かせる】
子供が文章の書き出しに困っているときは、「なぜその本を選んだのか」から書き出すことをすすめましょう。
例えば、「私は〇〇という本を選びました。なぜかというと、とても絵がかわいかったからです。そして、実際に本を読んでみて私は驚きました。なぜかというと…」こんな感じです。
「本を選んだ動機」から「本の感想」はとても繋げやすく、子供たちもサクッと書き出せると思います。また、書き出しが決まると、子供の「書く意欲」も一気に増しますよ♪
1-7. 読書感想文を書くときのコツ【登場人物になったつもりで、読書感想文を書かせる】
読書感想文は必ずしも「本を読んでいる人の視点」で書かなくてもいいです。
「もしも僕(私)がこの登場人物だったら、こう思うだろう」など、登場人物の視点になって文章を書き進めてみるのも、とてもおすすめです。子供は、登場人物の気持ちになることで、ぐいぐいと自分の意見を書くことができるでしょう。
1-8. 読書感想文を書くときのコツ【「あらすじ」は書いてもOK!】
「読書感想文にあらすじは書いちゃダメ!」と思っている親御さん・お子さんもいるようです。
確かに、「ほとんどがあらすじ」の感想文はあまりよくないと思います。
しかし、「数行のあらすじ」なら大丈夫♪
あらすじを書かないと文章が進まないことだってありますもんね。
もしかしたら「あらすじを数行に収めることが難しい」と感じる子供もいるかもしれませんが、そのような子供には、下書きの時点で思う存分あらすじを書かせましょう。
その後に、必要な箇所をピックアップ、または要約させ、提出用の原稿用紙に書かせます。そうすることで、上手にあらすじを短くすることができます。
2. 原稿用紙の基本的な使い方
次に「原稿用紙の基本的なルール」を見ていきます。
「原稿用紙の使い方なんて忘れちゃったよ…」という親御さんは、ここで思い出しておきましょう。そして、子供が原稿用紙の使い方で困っているときに、優しく教えてあげてくださいね♪
―原稿用紙の基本的な使い方—
①題名は上から二、三マス空けてから書き出します。
②題名の次の行には、名前を書きます。上の名前と下の名前の間は一マス空け、下の名前の後も一マス空けるようにします。
学年とクラスを名前の前に記入する場合は、学年とクラスの後に一マス空けて、名前を書きだします。
例:4年2組〇読書〇好子〇(〇=一マス空ける)
③文章の書きだしは一マス空けます。
④話の流れが変わるときは、改行して一マス空けます。
⑤会話文や心の声は、かぎかっこ(「」)に入れましょう。かぎかっこの始まりは改行します。また、かぎかっこの後の文章も改行するようにしましょう。
⑥句読点は一番上のマスに書くことはありません。句読点は、行の一番下の文字と一緒に、または欄外に書いてしまってOKです。
3. 読書感想文を書く以前の問題…。子供が本を読んでくれない
「そもそも子供が読書嫌い…」という場合は以下の3つを試してみてください♪
きっと読書に興味を持ってくれると思います。
3-1. 子供自身が読む本を選ぶ
本を選ぶ際は、子供に読む本を選ばせるようにしましょう。
本によっては、「もうちょっと難しい本にしない?」「こっちの方がいいかもよ」と親御さんは子供言いたくなるかもしれません。しかし、子供が「これがいい」と手に取ったものは、あまり否定しないであげてください。
子供はその本に「興味」があったから手にとったのです。興味があると、読む気も湧いてきますよね♪
また、親御さんから「この本にしなさい」と一方的に渡すのもよくありません。子供は命令されている気分になり、「読みたくない」と思ってしまいます。
加えて、親御さんが「これはすごく良い本だ」と思っても、子供にとってはただの「つまらない本」かもしれません。親子であれ、感性は違うのです…。
3-2. 親御さんも子供と一緒に本を読む
「読書感想文を早く終わらせたいから」と子供に一気に本を読ませることはやめましょう。
「本を読むこと=ツライこと」と子供が思ってしまう原因になります。読書感想文を夏休み中に終わらせるために、読書は計画的に進めるようにしましょう。
そして、子供が読書をする時間は、親御さんも一緒に読書をするといいですよ。
「お母さん(お父さん)が集中している。僕も集中しよう」と子供は思うことができます。
さらに、「毎晩30分読書をする」「毎朝30分読書をする」など時間を決めて、親子で読書をするのもおすすめです。読書習慣が身につきます♪
3-3. 本に出てきたものを、実際に見せてあげる
本の世界と現実を上手に繋げてあげると、子供の「読書への意欲」はアップします。
例えば、「電車が出てくる本」をこれから読む子供には、「この本を読んだら、本に出てくる電車を見に行こう!」と親御さんが明るい提案をしてあげてください。
そして、実際に本を読み終え、現実でその本に出てきたものを見ると、子供はとても喜ぶでしょう。それが、「もっと本を読みたい」と思えるきっかけになります。
4. どうして読書感想文を書かなきゃならないの?
親御さんの中には「どうして子供に読書感想文を書かせるのだろう…」と疑問に思っている方もいるかもしれませんね。そんな親御さんのために、「どうして学校は読書感想文を書かせるのか」についてお話ししていきます♪
4-1. 読書感想文を書く理由【「書く力」を身に着けさせるため】
読書感想文を書くと、子供の「書く力」が鍛えられるのは分かりますよね。
では、その「書く力」は、どうして必要なのでしょうか?
まず、学校の授業(とくに国語)では、「文章を書く機会」はたくさんあるでしょう。そんなときに書く力がないと、子供がストレスを感じてしまうようになります。
また、書く力はお子さんが大人になってからも必ず役立ちます。
社会に出ると、メール・手紙など、書き言葉で人に伝えなければならない機会はたくさん。もし書く力がないと、「社会でも苦労してしまう」ということです。
子供のストレスや苦労を減らすためにも、書く力はしっかり身に着けさせたいですね♪
4-2. 読書感想文を書く理由【「伝える力」を育てるため】
子供は読書感想文を書くことで、自分自身の「伝える力」を伸ばすことができます。
まず、読書感想文を書く際は、「自分の思いを人に伝えなきゃ」と子供たちは思うはずです。そして、自分の思いをきちんと人に伝えるため、子供たちはきちんと段階を踏んで、文章を書こうとするでしょう。これはとても大切なことです。
また、読書感想文を書くことが楽しくなってくると、子供たちは自ら「魅力的な言葉」を考えはじめます。「どうやったら人に聞いてもらえるのか」を一生懸命考えている証拠ですね♪
4-3. 読書感想文を書く理由【「本を知るきっかけ」を与えるため】
「読書は子供に嬉しい効果をもたらす」というのは、みなさんご存知だと思います。では、具体的には、どんな効果をもたらしてくれるのでしょうか?
まず、「本を読むこと」でも「伝える力」を伸ばすことができます。
これはなぜかというと、本は「人に伝えるための言葉」で構成されているからです。
子供たちは本を読むことでその「伝えるための言葉」を知ることができるでしょう。
さらに、本を読むことで、勉強に必要な集中力、豊かな想像力を鍛えることができます。
以上の理由から、子供にはぜひ本を読んでもらいたいところ…。
「読書感想文を書く」ということは、「本を読むきっかけ」を子供に与えているのです。
5. 読書感想文に取り組む際、絶対にやってはいけないこと
最後に「読書感想文を書く際、絶対にやってはいけないこと」を見ておきましょう。
くれぐれも気をつけてくださいね!
5-1. 読書感想文を「親が代わりに書く」はNG!
「子供が全然やろうとしないから」「読書感想文なんて大変そう」
そう言って親御さんが、子供の代わりに読書感想文を書くケースもあるようです。
確かに、子供にとって「読書感想文を書くこと」はしんどいことかもしれません。
しかし、だからといって、親御さんが代わりに書くのはよくありません。
「親御さんが代わりに読書感想文を書く」というのは、このページの4章でお話しした子供の「書く力」「伝える力」などを鍛えられる絶好の機会を、親御さんが奪っているということです。
そう考えると「代わりに書く」というのが、どれだけよくないことなのかが分かりますよね…。
もちろん、読書感想文を書く子供を、親御さんがサポートしてあげるのはOKです!とても良いことです。
そして、サポートしてあげる際は、「ここが悪いからこうしなさい」と子供に指示するのではなく、子供が書いた文章をベースに、さらによくなるようアドバイスをしてあげましょう。
子供は書いた文章を否定されると、すごく悲しみます。
5-2. 人が書いた文章を「盗むクセ」をつけさせない
インターネットで調べると「本の感想」はたくさん出てきますよね。
確かに、それらの感想は「子供が読書感想文を書く際の参考」になることもあるでしょう。
しかし、インターネットにあるような文章を、そっくりそのまま真似るのは絶対によくありません。それは「人の文章を盗む」ということです。
人の文章を盗むと、「親が代わりに読書感想文を書いた場合」と同じように、子供は力を身につけられません。読書感想文がほぼ無意味なものになってしまいます。
また、いったん盗んで、親や先生にバレずに成功すると、子供によっては文章を「盗むクセ」がついてしまいます。こんな状況、どう考えてもよくありません。
子供が読書感想文を書いている際に、チラチラとパソコンを見るなど、なんだか不審な動きをしていたら、子供に声をかけてください。(もしかしたら、他の人の感想文を参考にしているだけかもしれないので、この時点では怒らないで、なにげなく探りを入れる程度にしましょう)
そして、盗んでいた場合は、きちんと注意してください。
6. まとめ
以上、「読書感想文の書き方のコツ」を中心にお話ししました。
あなたのお子さんに合いそうなコツがある場合は、どんどん試してみてください。
今は読書感想文が「手ごわい宿題」かもしれませんが、楽しくなると「楽ちんな宿題」。
「読書感想文って案外楽しいかも」と子供に思ってもらえるように、親御さんはしっかり子供のサポートをしてあげましょう♪
【参考書籍】
・齋藤 孝『だれでも書ける最高の読書感想文』KADOKAWA/角川書店 、2012
・高濱正伸、竹谷和『作文・読書感想文 子どもの「書く力」は家庭で伸ばせる』実務教育出版、2016
・赤木かん子『お父さんが教える読書感想文の書きかた』自由国民社、2009