「わが子が犯罪に巻き込まれたら」考えただけでも、ゾッとする子供への犯罪。大人と比べると力が弱い子供は、悪い人たちに狙われやすいんですね…。では、そんな子供たちをどうやって犯罪から守ればいいのでしょうか。
もし、あなたがお子さんをお持ちであれば、「うちの子の防犯は万全かなあ」と考えながら、この記事を読んでみてください♪そして、「十分じゃないかも…」と感じたら、できるだけ早めにお子さんと「防犯の見直し」を行いましょう。
1. 「子供が犯罪に巻き込まれやすい、危険な場所」を知ろう!
まずは、「子供が不審者に狙われやすい場所」を知りましょう。
子供が狙われやすい場所。それは、「子供が一人ぼっちになりやすい場所」や「見通しの悪い場所」です。具体的にどんな場所なのかいくつか挙げていきますね。
―子供が狙われやすい危険な場所―
- 公園
- 駐輪場
- 階段
- 住宅街
- あまり利用されていない道路
- エレベーター
- お家(お子さんだけでお留守番をしているとき)
では、上記の場所では、どんな防犯ができるのでしょうか。
一つ一つ見ていきます。
(ご紹介した場所以外にも「危険だな」と思う場所もあると思います。その場合は、その場所に対して「どんな防犯ができそうか」を考えてみてくださいね!)
1-1. 公園
「公園では一人で遊ばせない!」が鉄則です
普段からたくさんの人が利用する公園でも、「あまり人がいない場所」はあると思います。例えば、木がたくさん生えている場所や、公衆トイレなどですね。そのような場所に一人でいる子供は、不審者に狙われる可能性が上がります。
また、お友達と公園で遊ぶときは、「お友達とはぐれるような遊び」はさせないようにしましょう。広い範囲での鬼ごっこや、かくれんぼなどに気をつけたいですね。
トイレに行くときも、お友達と離れないようにさせます。そして、公園の公衆トイレを利用するのではなく、できれば公園近くのお店や施設(コンビニや図書館など)のトイレを利用するよう教えておくべきです。
1-2. 駐輪場/ 階段
駐輪場や階段もあまり安全な場所とはいえません。
駐車場や階段を利用する子供には、「周りに変な人がいないか注意しながら利用する」ということを教えてあげてください。
また、「自転車を止めたらササッと駐輪場から立ち去る」「階段ではダラダラ歩かない」この2点がとても大切になってきます。用事もないのに駐車場・階段にいるのは危険です。
1-3. 住宅街/ あまり利用されていない道路
お子さんがお出かけする際や帰宅する際に、住宅街・あまり利用されていない道路を通ることもあるでしょう。実はその住宅街や道路も、「お子さんにとっては危険な場所」かもしれません。しかし、住宅街や利用者が少ない道路を避けて通ることは、なかなか難しい場合も。
「お子さん一人で歩かない」のが理想ですが、もし、一人で歩かなければいけない場合は、自分の周りに不審な人・車がいないか注意させながら歩かせるようにしましょう。(周りへの注意力が散漫になってしまうため、歩きスマホ・ゲーム・読書はさせない)
また、「近道だから」といって、人通りの少ない場所を歩かせないようにしましょう。
1-4. エレベーター
エレベーターでは「子供と不審者だけの空間」になってしまわないよう、気をつけさせましょう。あの狭い密室で不審者と子供だけになってしまったら、もう何をされるか分かりませんよね…。
エレベーターに乗る際は、知らない人と一緒に乗らないこと。また、知らない人が途中で乗ってきた場合は、エレベーターはすぐに降りるようにすべきです。(エレベーターを自分で操作できるように、エレベーターに乗ったらボタン近くにいるのが安全でしょう)
1-5. お家(お子さんだけでお留守番をしているとき)
ある程度お子さんが大きくなると、お子さんに留守番をお願いすることもあるでしょう。そんなとき、不審者が家に侵入するのを防ぐため、お子さんには以下のことを意識させるようにしてください。
―お留守番中、子供に守らせること―
- 「鍵を持っていること」を不審者に知られないため、外では鍵をカバンや服のポケットなどに入れさせるようにしてください
- 鍵を使って玄関の扉を開ける際は、不審な人がいないかどうか周囲を確認させましょう
- 家に入ったら戸締りをきちんとさせてください
- 留守番中、誰かが尋ねてきたときは(インターホンが鳴ったときも)基本的に無視させます
- 留守番中、電話が鳴ったときは、電話機のディスプレイを見て、家族以外の番号からかかってきている場合は無視させます
(不審者からの電話で、親御さんが家にいないかどうか確認されるかもしれないので…)
また、留守中に何かあった際の緊急連絡先(親御さんの携帯電話番号など)を、親御さんは子供に伝えておいてください。もし、ご近所さんに頼れそうなお家がある場合は、「何かあったらここに逃げてね」とお子さんに伝えておきましょう。
※子供一人でいじると怪我に繋がるもの(「コンロ」「包丁」「湯沸かし器」など)は、子供に使わせないようにしてくださいね!
2. 事前にやっておくべき防犯
このページの1章のことを子供に教えるだけでなく、以下もやっておくことをおすすめします。防犯を「これでもか!」というくらいし、お子さんの安全を守りましょう。
2-1. 事前にやっておくべき防犯【安全マップを作る】
お子さんがよく利用する道(例・学校に行く際に使う道)の「安全マップ」を作りましょう。安全マップを作ることで「危険な場所(犯罪や事故に巻き込まれそうな場所)」「安全な場所(何かあったときに逃げ込める場所)」を把握することができますよ♪
安全マップを作る際は、親子で実際にマップに書き込む道を歩き、「危険な場所」「安全な場所」を確認するようにしましょう。
作った安全マップは、日ごろからお子さんが見るような場所に貼ります。そして、マップに書きたすことがあれば、その都度書きたすようにしてください。
(↓安全マップ例)
2-2. 事前にやっておくべき防犯【あいさつをする習慣をつける】
「あいさつをすること」も防犯に繋がります。きちんとあいさつをすることにより、地域の人と子供との「繋がり」を作ることができ、子供を見守ってくれる人を増やすことができますよ。
「あいさつをした人が不審者だったらどうするの?」と心配になる親御さんもいるかもしれませんが、万が一あいさつをした相手が不審者だったとしても、顔を見られてあいさつをされると不審者は子供に手を出しにくいようです。(特定されるリスクが高まるため)
防犯の一環として、子供には「あいさつをする習慣」をぜひつけさせたいですね♪
2-3. 事前にやっておくべき防犯【不審者に遭遇した際の対策を知る】
子供には「不審者に遭遇した際の対策」をしっかり教えておきましょう。
2-3-1. 不審者は外見で判断できないこともある
「不審者=怪しい行動をしている人」とは限りません。いたって普通の格好・行動をしている人が不審者である可能性もあるので、外見では判断させないようにさせます。
2-3-2. 不審者に声をかけられたら
「一緒におやつを食べよう」「一緒に遊びに行こう」などなど、子供の興味をひこうと声をかける不審者もいます。
そのような声掛けには、「ビシッと断ること」をお子さんに教えておくようにしましょう。不審者の誘惑的な声掛けに対して、「知らない人だからダメです」「私(僕)のお家では禁止されているので」などが言えるといいですね。子供が言いやすい断りの言葉を考え、お家で親御さんと練習しておくといいでしょう。
「断ることを子供が躊躇してしまう場合」「断っても不審者がしつこく声をかけてくる場合」はすぐに逃げさせます。
また、「〇〇ちゃん久しぶり!」「〇〇ちゃんのお母さん知ってるよ!」など、なれなれしく子供に声をかける不審者もいます。恐らく、お子さんの名札、名前が書いてある傘などで、お子さんの名前を不審者は知ったのでしょう。
名前の書いてあるものはカバンにしまわせるようにし、カバンに入らない持ち物には、人から見られにくい場所に名前を書くといいですよ。
2-3-3. 不審者に触られそうになったら
不審者に触られそうになったら、とにかく逃げることが大事。「不審者に触られそうになったら、全力で走って逃げて、誰かに助けを求めるんだよ」と子供に教えてあげてください。
また、子供が逃げられる可能性を上げるためにも、不審者との間には一定の距離を取りたいところ。「知らない人が声をかけてきたり、近寄ってきたら、大人が両手を横に広げたときくらいの距離を取るんだよ」ということも、お子さんに教えておいてあげましょう。その際、実際に親御さんが両手を広げてあげると、お子さんは距離をイメージしやすくなります。
2-3-4. 不審な車から逃げる場合
不審な車がついてきたり、車の中の人から声をかけられたり…。そのような場面に子供が遭遇した場合は、車の進行方向とは逆の方向にダッシュさせます。その方が追いつかれにくいです。
車の中から「お母さんが倒れた!一緒に病院に行こう!」というような声をかけてくる不審者もいるようです。そのような場合は、子供に「乗れません!」と断らせ、絶対に車に乗らせないようにさせます。
3. 防犯グッズの正しい知識
この章では、子供の防犯グッズの定番「防犯ブザー」と「GPS」についてお話ししていきます。「防犯ブザーやGPS、どんなのがいいのかなあ」と迷っている親御さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
※学校以外の場所にも防犯グッズは持っていきましょう。
3-1. 防犯ブザー
防犯ブザー購入後は、必ずお子さんに使用方法を教えてあげてくださいね。また、防犯ブザーが壊れていないかの点検もかねて、定期的にお子さんと一緒に防犯ブザーを鳴らす・止める練習をするようにしましょう。
3-1-1. 防犯ブザーの効果
防犯ブザーは持っているだけでも効果があります。なぜかというと、「あの子は防犯ブザーを持っているから」と襲ことをやめる不審者もいるからです。
また、いざ不審者に襲われたときも、防犯ブザーを鳴らすことで、子供が逃げるすきを作ることができます。さらに、防犯ブザーの音にびっくりし、周りの人に気付かれることを恐れ、襲うことを中断し逃げ出す不審者もいるそうです。
3-1-2. 防犯ブザーの選び方
防犯ブザーを購入する際は、以下の3点を押さえたものを探してくださいね。
―子供の防犯ブザー選び、大切なこと3点―
- 大音量であること
- 水や衝撃に強いこと
(防水性の防犯ブザーであれば少々濡れてしまっても大丈夫でしょう。また、少し雑に扱っても壊れないような、強度が高い防犯ブザーを選びましょう)
- 鳴らすための操作が簡単であること
(犯人に、鳴らしたブザーをすぐに止められてしまっては、防犯ブザーの効果があまりありません。そのため、鳴ったブザーを止める操作は少し難しい方がいいです。お子さんは誤って鳴らしたときにすぐ止められるように、お家で練習をしておきましょう)
3-1-3. 防犯ブザーの付け方(ランドセル)
ランドセルに防犯ブザーを付ける際は、ランドセルの肩ベルトのところに付けるようにしてください。ランドセルのサイドにつけてしまうと鳴らしづらいですし、首から防犯ブザーをさげるのも、不審者に防犯ブザーを掴まれ首を絞められる可能性があるのでNGです。
(お子さんの利き手や防犯ブザーの種類によって、左右のベルトどちらに付けた方が使用しやすいかも考えましょう。また、ランドセルによっては肩ベルトに防犯ブザー取り付け用の金具がついているものもあります。金具がついていない場合は、肩ベルトに取り付けられる専用ベルト付属の防犯ブザー購入を検討してみてくださいね。)
3-2. GPS
子供の居場所が把握できるGPS。色々なGPSが販売されているため、どんなGPSを選べばいいのか分かりませんよね…。
GPSを選ぶ際に一番注意してほしい点。
それが「GPSの精度」です。
GPSによっては、子供のいる位置を把握したいと思っても、けっこうな誤差がでてしまうものもあります。そのため、なるべく精度が高く、誤差があまり出ないGPSを選ぶべきです。
また、ただ単に子供の位置を把握するためのGPSではなく、色々な機能がついたものも発売されています。
例えば以下のものは、GPS機能だけでなく、色々な機能がついています。
―みまもりケータイ4(ソフトバンク)―
- 電話ができる
- メッセージ送信可能
- 防犯ブザー付き(防犯ブザーが使用されたときは、家族に自動的に連絡)
- 別途料金を支払えば、警備会社のかけつけサービスも利用可能 など
―ココセコム(セコム)―
- しらせてコール(親御さんがお子さんに信号を送る→お子さんが持っているココセコムが、信号が届いたこと、バイブでお子さんに知らせる→お子さんがスイッチを操作し応答→親御さんに応答があったことを知らせる)
- 通報サービス(子供が通話サービスを利用した場合は、セコムから家族に連絡が入る。そして、必要な場合はセコムの方が現場に急行。現場急行をお願いする場合は別途料金がかかる)
- みつめてコール(みつめてコールを設定することで、セコムの方に監視してもらえる)
「どんな機能があればお子さんは安心なのか」を考えながら、GPSを選べるとさらにいいですね♪
(携帯電話と同じような機能がついているGPSの持ち込みは、学校によってはNGのところも。子供を守るために持たせたい場合は、購入前にまず学校に確認しましょう。)
3-3. 防犯グッズだけに頼るのは間違い!
「防犯グッズを持っているから、うちの子は大丈夫!」と防犯グッズだけに頼るのは間違いです。
防犯グッズを持つ他に、「不審者に襲われないためには何ができるのか」「襲われたときはどうすればいいのか」など、お子さんに「防犯に対する知識」がある状態が好ましいです。
「防犯グッズ+防犯に対する知識」で安全度をさらにアップさせましょう。
4. 無防備なインターネット利用も犯罪に巻き込まれる原因に
「インターネットを通して知り合った人と実際に会い犯罪に巻き込まれる」「入力した個人情報が悪用される」などなど。インターネットは「犯罪に巻き込まれるきっかけ」にもなります。
そのため、インターネットのマナーを知らない子供が、スマートフォンやパソコンを使用する際は、親御さんがしっかりと見守ることが大事です。
また、子供に大人も使用するような携帯電話やスマートフォンを買い与える前に、「うちの子には本当にこれが必要なのかな」と考えるようにしてください。電話やメッセージ機能のみを利用する場合は、「キッズケータイ」で十分かもしれません。
それでも「大人が利用するような携帯やスマートフォンを持たせたい」という場合は、ケータイショップの店員さんと「子供がインターネットを通した犯罪に巻き込まれないために何ができるのか」を話し合い、対策を考えましょう。
5. まとめ
子供が巻き込まれる事件もかなりある現在。
「うちの地域は安全だから」は過信です。どんな地域にお住まいでも、「防犯」はしっかりと意識させるべきです。
親子で「どんな防犯ができるのか」を考えて、行動し、お子さんの安全度をどんどん高めていってくださいね♪
【参考書籍】
・舟生 岳夫『子どもの防犯マニュアル』日経BP社、2017
・旺文社『学校では教えてくれない大切なこと 10 身近な危険~防災と防犯~』旺文社、2016
・武田 信彦『親子で読もう!子どもの安全ブック』スタジオタッククリエイティブ、2011