あなたのお子さんも「なんで自分だけ逆上がりができないのだろう」と悩んでいるかもしれませんし、あなたの生徒が「クラスで逆上がりができないのは自分だけだ」と悩んでいるかもしれませんね。
そんなお子さんや生徒のために、どうにかして逆上がりができる方法はないかと、あなたも探されていることでしょう。
ただ、「どういうふうに教えたらいいかわからない」「自分がちゃんと子供に教えてあげることができるのだろうか」などという不安もありますよね。
これから、簡単に逆上がりができる練習方法をご紹介しますが、この練習方法を知る前に、子供がなぜ逆上がりが苦手なのか、原因を知っておく必要があります。
逆上がりができないという子供の苦手になる原因を挙げてみました。
次の5つが考えられるでしょう
・自分の体が逆さの状態になるのが怖い
・回る時に腕をしっかり曲げられていないから(腕が突っ張ってしまっている)
・体が反ってしまい、腰が引けている(鉄棒に腰が密着できていない)
・足を振り上げることができない
・体重が重すぎるため(太っている)
という点があげられます。
この中でも「自分の体が逆さの状態になるのが怖い」という原因が、今回の逆上がりを練習するうえで一番重要視する部分になります。
今回は「逆さ状態に対する恐怖心を取り除きながら、逆上がりができるようにする方法」や、「練習法でうまくできなかった子を的確に鍛える方法」についてのご紹介。
さらに、「できるようになった逆上がりを、よりレベルアップさせる方法」についてもご紹介していきます。
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目次
1.段階別ベルト式逆上がり練習法(逆さ状態の恐怖心克服)
それでは実際に、逆上がりを1週間でできるようになる練習をしていきます。
今回は「段階別ベルト式逆上がり練習法」という補助具を用いた練習法です。
この逆上がり練習法で一番カギとなるポイントは・・・
・逆さ状態に対する恐怖心の克服
・腰を鉄棒に密着させ、回る感覚を身に付けさせる
ということです。
補助具となるベルトを活用して、体(腰の辺り)を鉄棒に固定します。
ベルトで体を固定していることで、鉄棒から落ちる心配もありませんし、たとえ体が逆さ状態になっても固定されていれば恐怖心を軽減できます。
また、逆上がりを回る時に重要な部位である腰が密着し、鉄棒から離れることはないため、鉄棒を支点としてくるりと回ることができるのです。
この練習法では「鉄棒くるりんベルト」という補助具を、参考にしてみてください。
1-1.ベルトの装着方法
この補助具を付ければ、確実に逆上がりができます!
しかし、そのままでは補助具を外してできるようになりません。
補助具無しでもできるようになるために、このベルトには少し工夫を加えています。
※使用方法
①ラベルが見えるように青い布の部分を腰に当てます
↓
②ベルトの両端をそれぞれ鉄棒にかけます
↓
③カチッと音がするまで左右の留め具を短いベルトの留め具に接続する
↓
④左右のベルトに縫い込まれている色の付いたラインを目安にして、ベルトの長さが同じになるように調節する
↓
⑤鉄棒にかけたベルトの外側を握って逆上がりをおこなう
使用方法で紹介した通り、ベルトに色の付いたライン(5色のラインが入っている)を入れていることで、補助具無しでもできるようにラインを目安にして、段々とベルトを緩めていきながら練習していけるのがこのアイテムのコツです。
1-2.ベルトを使った段階別ベルト式逆上がり練習法
ベルトの付け方がわかったら、早速ベルトを使っての逆上がり練習をおこないます!
腰が鉄棒に近づいた状態を作るために、最初はベルトを一番短くしておき、鉄棒に体がくっつくぐらいにセッティングます。
※練習方法
①最も低い鉄棒(へその高さがベスト)を使い、手は順手で握ります
↓
②このベルトを使って、3回逆上がりができたら目盛りを1段階ずらしてベルトを伸ばします
↓
③少し長くなったベルトで逆上がりが3回できたら、同様にもう1段階ベルトを伸ばします
↓
④ベルトが最も長い状態になったら、ベルトに体重をかけないようにして逆上がりをします
↓
⑤最後にベルト無しで逆上がりをおこない、その際には腕をしっかり曲げたまま行う
この練習法を、1日10分ぐらいでも大丈夫ですので毎日おこなえば、今まで逆上がりができなかった子供も1週間でできるようになるでしょう!
1-3.自分に合った鉄棒の握り方でおこなう
逆上がりができるようになるもう一つのポイントとして、自分に合った鉄棒の握り方を見つけておきましょう。
*順手
手の甲を上にする握り方で、最も一般的な逆上がりの握り方です。
主に逆上がりなどの後方回転系の技に使うことが多いです。
*逆手
手の平を自分の方に向ける握り方です。
主に前方回転系の技に使いますが、力が入り体を引き付けやすいため、逆上がりが苦手な子には逆手をお勧めします。
(力が入りにくく、手が鉄棒から離れやすくなるため)
鉄棒を握る時は、猿が棒を掴む時の手に似ていることからその名が付いた「サル手」という握り方をしてください。
2.逆上がり練習法でうまくできなかった子は3つの方法で鍛える
今ご紹介した逆上がり練習法をおこなえば、まず間違いなく逆上がりができます。
しかし、それでもできなかったという子供が、必ず何人かは出てきます。
そういう子供にはできない理由として、次の点が考えられるでしょう。
・鉄棒の高さが合っていない
・腕力が足りない
・逆さ状態に対する恐怖心がまだ拭いきれていない
などと理由は様々ですが、これらを克服できなければ、逆上がり成功への道のりはなかなか険しいものになるでしょう。
練習法をやってもできなかったという子にも、練習中にコツが掴めずに悩んでいる子にも、ちょっと違った練習方法で鍛えさせてあげてください。
今からご紹介する3つの練習方法の中から、それぞれの子供が苦手としているポイントと照らし合わせて、的確なものを選んで練習してみましょう。
2-1.ダンゴ虫懸垂(持久懸垂)
腕力が足りずに逆上がりが上手くできないという子供には、この「ダンゴ虫懸垂」が効果的です。
このトレーニングは腕力を付けるというよりも、腕の持久力を付けると言ったほうがわかりやすいかもしれませんね。
また、持久力が付くだけでなく、逆上がりを回りきるために重要な、腹筋も一緒に鍛えることができます。
通常の懸垂よりも体に負担がかかりづらく、子供でも簡単におこなえます。
※トレーニング方法は・・・
①あごが鉄棒の上にくるように腕を曲げます
↓
②足を地面から離して止めます
(体をダンゴ虫のように丸まった状態にします)
↓
③この状態を頑張ってキープします
あごが鉄棒から下がってしまう、もしくは足が地面に着いてしまったら終了となります。
必ずそこまでの、タイムを計っておくようにしてください。
目安のタイムは、10秒以上できることです!
逆上がりができる子供のほとんどが、この懸垂を10秒以上おこなうことができます。
つまりこの懸垂ができれば、逆上がりができると言ってもいいのです。
最初は5秒キープするのも難しいかもしれませんが、やっていくうちに腕力が自然と付いてくるため、徐々にタイムは長くなっていきますよ!
2-2.前回り降り
逆さ状態に対する恐怖心がまだ残っているという子供は、この「前回り降り」で克服しましょう。
このトレーニングは、簡単に言うと鉄棒の前回りの動作を、ゆっくりとおこなうトレーニングです。
※トレーニング方法は・・・
①鉄棒に上がって、腕を伸ばし下腹部を鉄棒にくっつけます
↓
②その状態からなるべくゆっくりと前回りおこなう
(「く」の字に曲げるゆっくり回りやすくなります)
↓
③ゆっくり回って、逆さ状態になったらなるべくその状態をキープしながら降りる
(キープしながら降りることで、逆さ状態の克服につながります)
もしも子供が上手くできていない時は、補助者の方が体を支えてあげるなどして、サポートしながらおこなってあげてください。
2-3.ジャングルジムやブランコの柵を利用したトレーニング
鉄棒の高さが合わずに、なかなか逆上がりが上達できないという子供には、公園にある他の遊具を活用した「ジャングルジムやブランコの柵を利用したトレーニング」をおこなってみましょう。
ジャングルジム(一番下の部分)やブランコの柵は、大抵の場合公園にある一番低い高さの鉄棒よりも、さらに低い位置にあります。
他の人よりも身長が低くて、一番低い鉄棒でも腰の位置が合わずにやりづらい子供は、このトレーニングを活用してみるといいでしょう。
それぞれの注意点などについて説明していきます。
*ジャングルジムを活用しての逆上がりトレーニング
ジャングルジムの一番低い棒の部分を、鉄棒に見立てて逆上がりします。
前にある棒に、足を引っ掛けながらおこなえるため、容易に逆上がりができて、一緒に逆さ感覚も養えます。
・棒と棒との幅が狭いため、気を付けながらおこなう
・回る時は、上の棒と地面に頭をぶつけないように気を付ける
*ブランコの柵を活用しての逆上がりトレーニング
ブランコの前を囲っている柵のパイプを、鉄棒に見立てて逆上がりします。
公園や学校内に、適正な高さ(へその位置)の鉄棒が無い時は、一番代用しやすい高さでしょう。
・鉄棒と違って、柵はパイプが太くしっかりと掴めないため気を付ける
(握りきれないため、無理に親指を掛ける必要はありません)
・パイプが太く握りきれないため、力が入りやすい逆手で持つ方が良い
・地面との距離が近いため、回る時は頭をぶつけないように気を付ける
どちらのトレーニングも、正規の鉄棒を使用しておこなうわけではないため、必ず近くで補助者が付き添い、安全面を十分に配慮しながらおこなうようにしてください。
3.段階別傾斜式逆上がり練習法(逆上がりのレベルを上げる)
第1章のベルト式練習法で、逆上がりができるようになりました!
しかし、まだまだ完璧な逆上がりの状態までは不十分です。
少しでも完璧な逆上がりに近づけるために、「段階別傾斜式逆上がり練習法」で逆上がりのレベルを強化していきます。
「段階別傾斜式練習法」とは、跳び箱運動の時に使用する跳び箱とロイター板を使って練習する方法です。
跳び箱を使うということで、基本的に学校でしかおこなえず手軽にできる方法ではありませんが、強化していくためには確実な方法です。
1日10分~20分の練習を、1週間繰り返してみてください。
確実に逆上がりが身に付いていますよ!
※安全のために、必ず隣に補助者が付いておくようにしてください
*練習方法
準備するものは・・・
・跳び箱(3段分)
・ロイター板
準備した2つを組み合わせておこないます。
この練習は、できるようになるにしたがって、段々と傾斜を緩やかにしていき、最終的に平地で逆上がりができるようにするための練習方法です。
【第1段階】跳び箱3段分にロイター板を乗せておこなう
↓
【第2段階】跳び箱2段分にロイター板を乗せておこなう
↓
【第3段階】跳び箱1段分にロイター板を乗せておこなう
↓
【第4段階】跳び箱2段目の木枠にロイター板を乗せておこなう
↓
【第5段階】ロイター板のみを使っておこなう
↓
【第6段階】何もない状態でおこなう
(これであなたも完璧に逆上がりをマスターしているでしょう!)
・1つの段階を連続で5回以上できたら、次の段階に上がること
・自力でできない時は、補助をしてあげて回る感覚を身につけさせること
4.<まとめ>
今回の逆さへの恐怖心を克服させて、1週間で逆上がりを成功させるための7のコツについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
この7のコツを踏まえて練習すれば、今まで逆上がりができなかったあなたのお子さんや生徒たちも、間違いなく1週間で逆上がりができるようになります!
その時は、必ず安全面に配慮しながら、練習をおこなうようにしてください。
「本当にこんな方法でできるようになるのかな?」と不安で迷っている人もいるでしょうが、どうしようかなと迷っている暇があったら、お子さんのために今すぐ行動してみましょう!
お子さんが「逆上がりができるようになったよ!」と、笑顔であなたに報告してくれる日が来ることを、願っています。
【参考書籍】
・向山洋一、下山真二『小学校の苦手な体育を1週間で攻略する本』PHP研究所、1996
・下山真二『日本で一番わかりやすい体育の本 跳び箱ができる!自転車に乗れる!』池田書店、2006