6月下旬くらいになると、多くの学校で「水泳の授業」が始まります。「水泳の授業大好きー!楽しみー!」という子供もいれば、「水泳なんて大嫌い。休みたい…」という子供もいますよね。
そう、水泳嫌いの子にとっては、水泳の授業は「とにかく嫌な時間」なんですよね。
また、水泳の授業について悩むのは、水泳嫌いの子供だけではありません。「水泳嫌いのお子さん」を持つ親御さんにとっても「悩みの種」だと思います。水泳の授業に対して愚痴を言うわが子、何かと理由をつけて授業を休もうとするわが子…。親御さんは、「子供の水泳嫌いとどう向き合おうか…」と考えこんでしまうことでしょう。
では、そもそもなぜ、子供が水泳の授業を嫌いになってしまうのかというと、
- 水が怖い
- 距離が伸びない/ タイムが遅い
- 周りの生徒と比較されるのが嫌
- 男子、女子の目が気になる
このあたりが多いようです。
さらに詳しくみてみましょう!
目次
1. 水への恐怖感があるため、水泳の授業が嫌い
「水が怖い。だから水泳なんてできないよ!」というお子さんもいます。そのようなお子さんの場合、まずお家で水に慣れる訓練をしてみましょう。その際、親御さんが立ち会ってあげると、子供も安心できると思います♪
1-1. お家でやってみよう!水に慣れる練習
お子さんが、身体に水が触れることをそもそも嫌がる場合、まずは「シャワーを浴びれるようになること」「顔を洗えるようになること」から始めてください。すでに、「シャワーを浴びられる子」や「顔が洗える子」は、以下の訓練をしてみましょう。
―水に顔をつける訓練をしよう―
(1) 「水中に顔を入れたら鼻から息を吐く→水中から顔を出したら残っている息を口から『パッ』と吐ききる(息を吐ききることで、新しい空気をたくさん吸い込める)」
ができると、実際に泳ぐ際に楽に息継ぎができます。まずは、水中での息の使い方を、親御さんが子供に教えてあげましょう。
(2) 水orぬるま湯の入った風呂おけを用意します。
(3) お子さん自身で、お子さんの顔を②の風呂おけにつけさせます。その際、①で教えた息の使い方を子供に実践させましょう。
(4) お子さんが慣れてきたら、水中で目を開けることを教えてあげてください。そうすると、いざ学校の授業でゴーグルが外れてしまった際も、大パニックにならずにすむでしょう。
「水を顔につけられるようになった!」と自信がつくだけで、お子さんの「水への恐怖心」はかなり薄らぐと思います。いきなり子供とプールに行って、スパルタ訓練をするのではなく、まずは「子供のできそうなこと」から始めましょう。
1-2. 子供があまりにも水を怖がるときは
水に対して、どうしようもない不安感や恐怖感を抱いている子もいます。(=水恐怖症)
「うちの子があまりにも水を怖がる」「家で水と触れ合う訓練をしたが、どうしてもダメだった」という場合は、心療内科・精神科などの受診を考えましょう。
「水が怖いくらいで病院?」と思う親御さんもいるかもしれませんが、お子さんにとって水は「本当に怖くて怖くて仕方がないもの」なのです…。専門家に相談し、具体的な解決策を探ってみるべきです。
2. 「距離が伸びない」「タイムが遅い」ため、水泳の授業が嫌い
「一生懸命泳いでいるのに距離が伸びない!」「良いタイムを残せない!」と悩んでいるお子さんもいるでしょう。頑張っているのにも関わらず、思うような結果が出ないと、水泳の授業へのやる気がなくなってしまう原因に。
そんなとき、親御さんはお子さんと一緒に「正しい泳ぎ方」を再確認しましょう。もしかすると、お子さんが泳ぐ際のフォームが崩れているから、思うような結果がでないのかもしれません。
ここでは小学校中学年くらいから習うであろう「クロール」「平泳ぎ」の正しい泳ぎ方をご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね!
2-1. 「クロール」の泳ぎ方
まずは「クロールの泳ぎ方」から見てみましょう。
―足―
クロールは「バタ足」で泳ぎます。バタ足をする際は、足を伸ばしましょう。そして、左右の足の親指が、こすれるかこすれないくらいで動かします。
※膝から下だけをばたばたと動かすのではなく、足全体を動かすイメージです。
―手―
前方に回した手は、できるだけ遠くへ伸ばしましょう。水中で手を回すときは、ふともものすぐ横を通過させ、肘を水から引き抜きます。
―息継ぎ―
クロールといえば、息継ぎが上手く出来ず、途中でしんどくなってしまう人が多いですよね…。息を吸うのは、片手が前へ伸び、もう一方の腕を身体の下で回すときに行います。伸ばしている腕の方の肩に、耳をつけて息継ぎをします。
2-2. 「平泳ぎ」の泳ぎ方
次は「平泳ぎ」の泳ぎ方です。
―足―
足は「カエルの足」をイメージしてください。
(1) 足を伸ばす
(2) つま先を外側を開いて膝を曲げ、ひし形の状態に
(3) かかとを外に向かって押し出す
(4) 押し出した足を真っすぐの状態までもってくる
以上が足の基本動作です。
―手―
水を前から後ろに、手で押すイメージです。水が指と指の間からすり抜けてしまわないよう、指は軽く揃えるようにしてください。
―息継ぎ―
息継ぎは、手で水を押すときに、顔を上げて行います。
(平泳ぎは「伸び」が肝心です。手足を伸ばすときは、前へ進むときですので、このときに慌てて次の動作をしないようにしましょう。「前へ進まなくなってきた」と感じてから動かすようにするとよいです)
3. 周りの生徒と比較されるために、水泳の授業が嫌い
これは筆者である私も、学生時代に感じていたこと…。
上手に泳げる子が隣のレーンで泳ぐこととなり、その子がぐいぐい自分より先に進んでしまうと、なんだか惨めな気持ちになるんですよね…。また、その光景をプールサイドにいる子たちに、じいーっと見られるのも苦痛で。なんというか「一緒に泳ぐ子と比較されているんじゃないか」と学生時代の私は感じていました。
案外、学生時代の私のような思いを持っているお子さん、多いと思うんです。
もし、あなたのお子さんが「泳ぐことに自信がない…」「みんなよりも泳ぐのが遅い…」と悩んでいたら、「いつも頑張って授業を受けているからそう思ったのね。授業を頑張れることは、とても素敵なことなの」と子供が授業を受けていること自体を、親御さんは認め、褒めてあげましょう。
そうすることで、「もうちょっと頑張ってみようかな」と子供は自ら思うことができるはずです♪
また、親御さんがお子さんに「正しい泳ぎ方」を教えてあげ、自信をつけさせてあげるのもいいですね。
4. 異性の目を気にしてしまうため、水泳の授業が嫌い
小学校高学年・中学生くらいになると、「自分自身の身体の成長を、周りの人(とくに異性)に見られたくない!!」というお子さんもいることでしょう。よく分かります…。水着って、ピタッとしているから体型が丸わかりで、嫌なんですよねえ。
もし、お子さんが「水着を着た際の体型」に悩んでいるのであれば、いっそ水着を変えてみてはいかがでしょうか? スクール水着にも色々なタイプがあるんです♪
―男子の場合―
「あまりにも身体にフィットする水着は嫌!」という男の子もいます。その場合は、「サーフパンツタイプ」の水着がおすすめです。
―女子の場合―
「スカート付きのワンピースタイプ」や「オールインワンタイプ」のスクール水着を検討してみてはどうでしょうか。太ももがやや隠れるので、ずいぶん気も楽になると思います!
学校によってはスクール水着のデザインに対して、細かい指定があるところも。水着のことで悩んだら、まずはお子さんが通っている学校の水着の条件を知った上で、購入するのがいいでしょう。
また、「周りに自分と同じような水着を着ている人がいない。だからその水着は着たくない」という子供もいると思います。スクール水着を決めるときは、親御さんだけで決めるのではなく、お子さんとも相談しましょう。
5. 「怪我」「体調不良」「生理」などで水泳の授業を休むときは
「怪我をした」「体調が優れない」の他に、女子の場合は「生理になってしまった」という理由で水泳の授業を見学したいときがあると思います。
そんなときは学校から配布された水泳カードや生徒手帳、場合によっては連絡帳に「〇〇のため、水泳の授業を見学させます」と親御さんが記入し、サインをしてあげます。
見学理由が生理の場合、「『生理で見学』と書くのは、ちょっと恥ずかしい?」と感じる親御さんもいるかもしれません。しかし、「生理」はちっとも恥ずかしいことではありません。生理は多くの女性が経験すること。将来、あなたのお子さんが、「お母さん」になるために必要なことなのです。親御さんは、堂々と「生理のため見学させます」と記入してあげてください。
(親御さんではなく、お子さんが「生理って書かないで」という場合は、「腹痛のため」「体調不良のため」と書いてあげるのもよいでしょう)
6. 色んな理由をつけて「水泳の授業休みたい」という子には現実を伝える
本当は怪我・体調不良・生理でもない。それにも関わらず、「〇〇だから水泳を見学するー」と何かと理由をつけて授業を休もうとする子がいます。水泳の授業がよっぽど嫌いなんでしょうね…。
そのような子には、「水泳の授業がどうして嫌いなの?」と親御さんから尋ねてみてください。このページの1章~4章にあるような理由で、水泳の授業が嫌いな場合は、それぞれの理由にあった解決法で水泳嫌い克服を目指しましょう。
しかし「面倒くさいから」「なんとなく嫌」など、いまいち理由がはっきりしない場合は、「水泳の授業をちゃんと受けないと、どんなことになるのか」という事実をお子さんに伝えましょう。
―水泳の授業を受けないとどうなるの?-
- 体育の成績が下がる原因になる
- 受験を控えている子の場合は、内申点に響く可能性がある
- 水泳の授業を頻繁に休むと、周りの子の水泳スキルに追いつけなくなる。結果、水泳への苦手意識がさらに強くなる
親御さんが「水泳の授業を受けないとどうなるか」を具体的に説明してあげると、お子さんも簡単には「水泳の授業を休みたい」と言わなくなるはずです。それでも、激しく水泳の授業を嫌がる場合は、お子さんの先生に相談してみましょう。
7. どうして水泳の授業が必要なの?
「どうして水泳の授業って必要なのかなあ…」
あまりに子供が水泳の授業を嫌がると、親御さんも「水泳の授業がある意味」を思わず考えてしまいますよね。ということで、この章では、そんな親御さんの疑問にお答えしていこうと思います。
なんとなく皆さん予想がつくと思いますが、水泳の授業がある意味は、
- 健康的な身体づくり
- 水難事故防止
の大きく2つに分かれると思います。
「『健康的な身体つくり』については理解ができる。だけど『水難事故防止』って…。池・川・海など、水がある場所に行かなければいい話なんじゃないの?」と思った方もいるでしょう。
しかし、お子さんが将来「水がある場所に行かない」と誰も断言できません…。お子さんは将来、お友達と川辺でバーベキューをするかもしれません。また、いつかは恋人と一緒に海へ出かけるかもしれません。
水泳が嫌いでも「水がある場所に行く機会」は案外あります。そんなときに、お子さんが万が一、川や海に入り、溺れそうになったとしたら…。少しでも泳げることで、「命が助かる可能性」は上がるでしょう。
そう考えると「水泳の授業の大切さ」がよく分かりますよね。
8. まとめ
「お子さんが水泳の授業を嫌う理由」~「どうして水泳の授業が必要なのか」をお話ししてきました。
「水泳嫌いのお子さん」を持つ親御さんは、水泳の授業を嫌がる子供を見ると、「コラーッ!ちゃんと授業を受けなさい!!」と思わず怒りたくなってしまうこともあるでしょう。しかし、どうかその怒りは心の中にしまっておくようにしてください…。かわりに、親御さんがお子さんに救いの手を差し伸べてあげましょう。
親御さんがお子さんに救いの手を差し伸べ、水泳嫌い克服のために行動できると、お子さんの水泳嫌いも少しずつよくなっていくはずです♪
【参考書籍】
・長谷 優『これで25メートル泳げる! 子どもに水泳を教える本』メイツ出版、2014
・平川 譲『苦手な運動が好きになるスポーツのコツ〈3〉水泳』ゆまに書房、2005