「アクティブ・ラーニング」という言葉を、あなたは聞いたことがありますか?
「子供の学校教育についてすごく興味がある」「たまたま学校の先生に聞いた」という人は知っていると思いますが、まだまだ知らない人も多いはず…。
そこで今回は、そんなアクティブ・ラーニング(小学校の場合)について、少し掘り下げてお話ししていこうと思います。ぜひ読んでいってくださいね♪
―この記事はこんな人におすすめ―
「小学生のお子さん」「小学校入学前のお子さん」をお持ちの親御さんにおすすめの記事となっています。お子さんによっては「アクティブ・ラーニングでの授業がつらそう」と感じることがあるかもしれません。そんなときは、親御さんがお子さんを優しくサポートしてあげましょう。
目次
1. 「アクティブ・ラーニング」って一体なに?
まず始めに、アクティブ・ラーニングの概要から見ていきます。
アクティブ・ラーニングとは一体どんなものなのでしょうか?
1-1. アクティブ・ラーニングとは
まず、アクティブ・ラーニングとは授業方法のひとつ。つまり「アクティブ・ラーニングで国語・数学・理科などの教科を学びましょう」ということです。
最近は、このアクティブ・ラーニングでの授業を実施している小学校が増えてきています。もしかしたら、あなたのお子さんが通っている、または通う予定の小学校は、既にアクティブ・ラーニングでの授業を実施しているかもしれませんね。
授業の方法については下の「2. アクティブ・ラーニングを活用した授業ってどんな感じなの?」で詳しくお話ししますが、ざっとお話しすると、アクティブ・ラーニングを用いた授業では、生徒が与えられた問題について考える時間がさらに多くなります。
ちなみに、アクティブ・ラーニングは、1990年代、アメリカで大学教育の改革があったときに出てきたそうです。
1-2. アクティブ・ラーニングが導入される理由
2014年に当時文部科学大臣であった下村博文氏が、「小学校・中学校・高校の学習指導要領について」の意見を中央教育審議会(※)へ尋ねました。そして、その中で「アクティブ・ラーニング」が登場し、アクティブ・ラーニングの導入が検討されるようになったのです。
どうしてアクティブ・ラーニングなのかというと、アクティブ・ラーニングで教科を学ぶことにより、「子供たちが『自分で考えて行動する力(主体的)』『周りの人と協力して課題に取り組む力(協働的)』を手に入れることができる」と考えたからです。
つまり、アクティブ・ラーニングを通して「自分の持っている知識を使い、自分の考えを発信。さらに周りの人とも協力して、問題解決ができるようになってほしい」ということ。
きっと、今の子供たちが大人になったときに生きていく社会は、今よりもずっとすごいことになっているでしょう…。グローバル化・テクノロジーの発展はさらに進み、リーダーシップ力を求められる機会も多くなると思います。そんな中でしっかりと生きていくためには、「主体的・協働的であることが大切だ」となったのです。
※中央教育審議会とは
‥文部科学大臣の諮問(意見を尋ねること)を受け、政策にどう取り入れるのかを考える機関
1-3. アクティブ・ラーニングにはどんな効果があるの?(具体的に!)
上の「1-2. アクティブ・ラーニングが導入される理由」では、「アクティブ・ラーニングによって、主体的・協力的な考えを持つことができるようになる」とお話ししました。
しかし、「なんだか難しくてよく分からなかった」という方もいるはず…。なので、もう少し具体的に、アクティブ・ラーニングの効果についてお話ししていきますね♪
―アクティブ・ラーニングの効果―
- 問題解決に向けて「自分の頭で考える力」が身につく
- 「失敗」と「成功」を感じることができる(次の機会に活かす力が身につく)
- 周りの人と「協力する力」が身につく
- 仲間を率いる力、まとめる力(リーダーシップ)が身につく
- 人の意見に耳を傾ける力が身につく(「人の話を聞かない子」に育てない!) などなど。
こうやって効果を見てみると「アクティブ・ラーニングって、なんだか期待できそうだなあ」と思うことができますね♪
2. アクティブ・ラーニングを活用した授業ってどんな感じなの?
では次に、「アクティブ・ラーニングを使った授業がどんな感じなのか」を見ていきます。どんな授業をするのか、すごく気になりますよね…。
2-1. アクティブ・ラーニングは「生徒参加型」
今の親御さん世代が受けてきた授業は、恐らく「講義型」だと思います。講義型とは、「先生が教壇に立って、生徒に一方的に授業内容を教えるスタイル」のことを指します。
一方、アクティブ・ラーニングは「生徒参加型」の授業です。
学校や先生によって「アクティブ・ラーニングを活用した教え方」は少しずつ異なりますが、だいたい以下のような場合が多いようです。
―アクティブ・ラーニングの授業はこんな感じ!—
アクティブ・ラーニングでは、先生による授業の説明時間は短めです。では、先生の説明を聞く以外に何をするのかというと、クラスメイトと出題された問題について話し合い、解決方法を考えたり、意見をまとめたりします。さらに、クラスメイトと一緒に導き出した意見・回答を発表することもあるようです。
2-2. アクティブ・ラーニングの授業内容について、もっと詳しく知りたい場合
アクティブ・ラーニングの授業内容についてもっと詳しく知りたい場合は、講談社から出ている「図解 アクティブラーニングがよくわかる本(監修 小林昭文)」を読んでみることをおすすめします。
一見、「中学校・高校の先生向けじゃないの?」と思うような内容ですが、イラストが豊富で分かりやすく、親御さんが気になる点もQ&A形式でしっかり答えてくれています。小学生のお子さんをお持ちの親御さんも、「アクティブ・ラーニングって、だいたいこんな感じなのね」となるはずです。
「アクティブ・ラーニングで学ぶお子さん」をお持ちの親御さんは、目を通しておくと不安が解消できるでしょう。ちなみに1,500円くらいで購入できます。(私はAmazonで購入しました!)
3. 人見知りをするわが子。アクティブ・ラーニングで辛い思いをしないか心配
「うちの子は人見知りをしちゃう子。アクティブ・ラーニングで辛い思いをしないか心配」という親御さんも中にはいるでしょう。そんな親御さんのために、この章では「人見知りとアクティブ・ラーニング」についてお話ししていきます。
3-1. 子供の人見知りを治す際に、気をつけたいことってなに?
「アクティブ・ラーニングでの授業で苦労させたくない。だから、子供の人見知りを治したい」と思う親御さんもいるでしょう。
お子さんの人見知りを治す際に、親御さんがしてはいけないこと。
それは、「人見知りをする子供を責める」ということです。これは絶対にしてはいけません。
まず、「人見知りをする」というのは、決して悪いことではありません。
「初めて会う人とは、緊張で思うように話せない」「人と接するのが少し怖い」などのマイナスな面もありますが、「慎重に人間関係を築いていくことができる」「一歩引いて冷静に人を観察できる」などのプラスの面もあると思います。
また、人見知りもその子の「性格」なのです。従って、「あなたの人見知りはあまり良くないことなの。だから治そうね」と子供に言ってしまうことは、子供の性格を否定していることにもなります。
そのため、「うちの子の人見知りをどうにかしたいなあ」と思った時は、人見知りを決して子供の前で否定しないようにしましょう。そして、何気なく子供の人見知りを治すように働きかけてください。
3-2. アクティブ・ラーニングが「人見知り」を治す
最初のうちは、アクティブ・ラーニングでの授業が「少ししんどいなあ」と、人見知りをする子は感じるかもしれません。しかし、その「しんどさ」は、アクティブ・ラーニングに慣れることで徐々に薄れていくでしょう。
また、「この子は、周りの子と思うようにコミュニケーションが取れていないみたい」と先生が気づくと、サポートもしてもらえるはずです。
アクティブ・ラーニングの授業に慣れ、コミュニケーション力が上がると、お子さんにも「人と接すること」への自信がついてくるでしょう。それは、「人見知り克服」にも繋がりますよ♪
親御さんは「うちの子は人見知りをするから、アクティブ・ラーニングなんてかわいそう…」と思うのではなく、「アクティブ・ラーニングをすることで人見知りが改善されるかもしれない。これは子供の人見知りを治す絶好の機会だ!」とポジティブに捉えるようにしましょう。
4. 子供がアクティブ・ラーニングを楽しむために、家庭でできること
この章では、「お家でできるアクティブ・ラーニングの訓練方法」を見ていきます。
「うちの子は人見知り。アクティブ・ラーニングに馴染めるように、家でも訓練させたい」と考えている親御さんだけでなく、「子供には、より楽しく学校の授業を受けて欲しい」と考えている親御さんもぜひチャレンジしてみてください。
また、今からご紹介する方法は、とっても簡単なアクティブ・ラーニングの訓練方法なので、継続することもあまり大変ではないでしょう♪
―とっても簡単!お家でできるアクティブ・ラーニングの訓練―
・「学校でどんな勉強をしたのか」を子供に説明してもらう
子供が学校から帰ってきたときや、夕食後など、都合の良い時間帯に「今日は学校でどんなことを勉強したの?」と子供に聞いてみましょう。そして、子供から答えが返ってきたら、その勉強内容についてさらに詳しく聞くようにします。そうすることで、子供の「伝える力」が養われます。
・「子供が分からないこと」は親御さんも一緒に調べる
子供が「これってどういうことなの?分からないんだけど」と親御さんに質問してきたときは、子供と一緒に分からないことを調べてあげましょう。また、子供が「この問題の答えが出ない」と悩んでいるときは、一緒に回答を考えてあげてください。
親御さんと一緒に考えることで「協力して問題を解決すること」の楽しさや、大切さを学ぶことができます。また、「分からない」が「分かった」に変わった瞬間に、子供は「分かったことに対する嬉しさ(=達成感)」を感じることができるでしょう。
5. まとめ
今回は、アクティブ・ラーニングについて詳しくお話ししました。
親御さん世代が受けてきた小学校の授業と違うので、親御さんが不安に思ってしまうのは当然です。「アクティブ・ラーニングなんて、ちょっと受け入れがたいな…」と考えている親御さんもいるでしょう。
しかし、アクティブ・ラーニングはこのページの「1-3. アクティブ・ラーニングにはどんな効果があるの?」でご紹介した通り魅力がいっぱい♪
子供たちが大きくなって、社会人として生きていく際、きっとアクティブ・ラーニングで学んだことが役立つでしょう。子供の将来を考え、アクティブ・ラーニングで学ぶ子供を、親御さんは温かく見守り、必要なときは助けてあげましょう。
そして「子供がどうしようもなく悩んでいる」「すごく辛そうだ」と感じた時は、面談などで、親御さんから先生に、やんわりと相談してみるのがおすすめです。
【参考書籍】
・小林 昭文『図解 アクティブラーニングがよくわかる本』講談社、2016
・田中 博之『アクティブ・ラーニングが絶対成功する! 小・中学校の家庭学習アイデアブック』明治図書出版、2017
・教育課程研究会『「アクティブ・ラーニング」を考える』東洋館出版社、2016