あなたの子供も
・夜中に急に足が痛くなって起きてしまう
・少ししか動いてないのに足がすぐに疲れたり痛くなったりする
などと、原因不明の足の痛みに悩んでいませんか?
「子供が足を痛がる原因として思い付くのは成長痛を思い浮かべるけど、本当に成長痛だと決めつけてもいいのかしら?」や「なにか他の病気だったりするのかしら?」と、あなたも子供の痛がる様子を見ながら不安になってしまいますよね。
確かに成長痛の可能性も高いですが、子供が足を痛がる理由は他にもあり、子供特有の足に関する病気かもしれません。
成長痛か他の病気かを判断するために、チェックシートで子供の今の症状を確認して、半分以上当てはまったらすぐに病院へ行くことをおすすめします。
今回は「子供の足に病気の可能性があり、病院へ行ったほうがいいのかを判断するための【チェックシート】について」と「子供の足が痛くなってしまう理由には精神的な原因もある」ということについてのご紹介。
また「子供が発症する可能性がある5つの足の病気について」や「成長痛に関すること」などについても、少しだけご紹介していきたいと思います。
目次
1.チェックシートで半分以上当てはまったらすぐに病院へ
足の病気は、風邪などと違って、自分で症状を判断することは難しく、自身で改善していくことも困難です。
そのため、子供が急に足が痛いと訴えてきた時には、下記のチェックシートで子供の状態をチェックして、半分以上当てはまっている場合はすぐに病院へ行ってください。
「足の異常のチェック」と「身体の異常のチェック」のそれぞれ10項目で判断し、あなたの子供がそれぞれのチェック項目に3つ以上当てはまっていたら要注意。
半分以上当てはまっていた時は、治療のためすぐに病院へ行ってください。
□1.外反母趾※1・内反小指※2があり、また、足の形に左右差がある
□2.浮き指※3がある
□3.巻き爪になっている
□4.足の指の付け根や指の背にタコができている
□5.偏平足または、ハイアーチ※4の足である
□6.足の甲や足裏によく痛みを感じることがある
□7.足の裏が外側を向いた外反足※5である
□8.足首を回すと、音がするのと同時に痛みがあり、足首がゆるむ感じがする
□9.足のサイズが左右で異なる
□10.つまずきやすく、靴底の片方がよくすり減る
□1.O脚やX脚である
□2.反張ヒザ※6である
□3.開脚運動ができない
□4.骨盤がゆがみ、ズボンの長さが左右で異なる
□5.猫背になっている
□6.側弯症※7で背骨が曲がっている
□7.ストレートバックボーン※8(背骨が極端に真っ直ぐな状態)になっている
□8.ストレートネック※9(首の骨が真っ直ぐな状態)になっている
□9.鼻筋とあごのラインが曲がっている(顔に左右差がある)
□10.噛み合わせや歯並びが悪い
☑Checkポイント<チェックシート内の文言解説>
※1外反母趾
足の親指の付け根が極端に外に突き出してしまい、親指が内側に曲がってしまう状態
(幅の狭い靴などを履くと起こりやすい)
※2内反小指
外反母趾の小指バージョンだと思ってください
※3浮き指
立って足を地面につけた時に足の指が地面につかない状態(指が反り返っている)
足の指が90°以上曲がるようだと、浮き指の可能性大
※4ハイアーチ
足裏の土踏まずの部分が極端に高い状態になり、その影響で足が内側に傾いてしまう時もある
(その逆で土踏まずはほとんど無く、ベタ足の状態が偏平足である)
※5外反足
外反足は直立した人の足を後から見て、かかとの部分が内側へ倒れこんでしまった状態
※6反張ヒザ
ヒザが真っ直ぐ以上に伸びて反り返ってしまう状態で、ヒザが逆に曲がってしまうようなイメージ(成長痛の原因になることが多い)
※7側弯症
脊柱が左右どちらかに曲がったりねじれたりしてしまう症状
一時的なことも多いが、20°以上曲がっていたら注意が必要です
※8ストレートバックボーン
通常ゆるやかなS字を描いているはずの背骨が、真っ直ぐな状態になっている
(衝撃が加わった際に骨折の可能性が高いため危険)
※9ストレートネック
通常ゆるやかなS字を描いているはずの首の骨が、真っ直ぐな状態になっている
2.「2~12歳ごろ」の足の痛みは成長痛ではない
子供が夜中に寝ている時など、急激に足が痛いという状況になった場合に、あなたがすぐに思い浮かぶ症状は成長痛だと思います。
ですが、本来「成長痛」というのは、医学的に存在しない名称になります。
また、正確に言うと成長痛と呼ばれている症状は、すべての年齢の子供に当てはまるわけではありません。
特に2~12歳ごろの子供には、たとえ急激に足が痛くなったとしても、それは身長が伸びることによる痛みではない可能性が高いです。
2~12歳ごろの子供が、成長痛と言われているものは・・・
・反張ヒザと浮き指による痛み
・子供が動き回ることによる脚の過度な疲労
という2つの要因を、子供特有の痛みであることから、お医者さんたちが成長痛と呼んでいるだけになります。
2-1.反張ヒザと浮き指による痛み
2~12歳の子供も当然身長は伸びますが、成長痛という症状によって伸びることはありません。
あなたが成長痛だと思っている症状は、この「浮き指」と「反張ヒザ」による痛みが発症している場合が多いです。
「浮き指」は、足裏の機能がまだ発達しておらず指の力が弱いことで、立っている時でも指が反り返って地面にもつかない状態のことです。
「反張ヒザ」は、浮き指になることによってかかと体重になってしまい、立つバランスが後ろ側に崩れることでヒザが反り返り、逆に曲がるような状態になります。
この2つの症状が原因で、夜中などに2~12歳までの子供で急激に足が痛くなると、成長痛として間違った認識をされてしまうのです。
2-2.子供が動き回ることによる足への過度な疲労
もう1つの理由は、子供が走ったり歩いたり一日中動き回ることで足に溜まった過度な疲労が、夜中などに痛みとなって現れるためです。
【子供(2~12歳まで)の関節や骨などは、未熟で柔らかく弱い状態】
→「子供は一日中走ったり歩いたり激しく動き回る」
→「柔らかい関節や骨などは疲れの影響を受けやすく、過度な疲労が溜まりやすい」
→「溜まった疲労が夜中の寝ている時などに、痛みとなって現れる」
この関節や骨などが柔らかく弱い状態という理由は、【2-1】で紹介した「反張ヒザ」や「浮き指」が発症する原因にもつながります。
3.子供の足が痛い理由には心のSOSの可能性もある
子供の足が痛い理由は、病気の可能性が一番ですが、ストレスなどによる子供の精神状態の不安定さも原因の1つです。
これには「自律神経失調症※1」が関わっていると言われています。
いじめや不登校など、子供がストレスを感じ精神的に追い込まれた状態に陥ると、自律神経も不安定な状態になり、体が異常を訴えるようになります。
そんな体の異常の1つに、足が痛くなるという症状も含まれるのです。
また、足が痛くなること以外にも、頭痛や腹痛・立ちくらみ・吐き気を繰り返すなど、こういった異常が子供の体に見られた時は、心のSOSを受け取ってあげてください。
自律神経失調症とは、自分でも思い当たる原因がわからずに、慢性的な疲労やめまい、頭痛などの症状が起こったり、イライラしたりやる気が出なかったりといった不調が続くなどの様々な症状が現れます。
また、発症する主な原因は自律神経が乱れることとされていますが、乱れる原因も人それぞれ違うため、原因の特定が難しい症状と言われています。
3-1.いじめなどで精神的に弱っている子供の約90%が足に異常がある
2008年に文部科学省によって「小学生~中学生までの子供を対象とした不登校やいじめを受けている子がどれだけいるのか」に関する調査が行われました。
調査の結果、小学生は2万2000人、中学生は10万7000人の子供たちが不登校やいじめを受けているとされ、その中で約90%の子供が足に外反母趾や浮き指などの異常が見られるとのことでした。
※参考書籍:笠原巖「お母さん!子どもの足が危ない!」第2章40ページより引用
調査結果を見ての通り、ストレスなどの精神的な影響によって、子供の足が痛くなることへの関連性がわかりました。
3-2.子供が足の痛みを感じている時は心のケアも大切
子供の足が痛くなる症状で有名な「成長痛」も、子供が親に構って欲しい意思表示の1つだと言われています。
足の病気が精神的な影響を受けることと同じで、幼児~12歳ぐらいまでの成長期の子供心や体に抱えている不安要素を、親であるあなたへ無意識に成長痛という痛みで伝えようとしているのです。
諸説ある事ですから、成長痛などの足を含む子供の体の不調が、全て精神的な要因とは限りません。
しかし、足が痛いとあなたの子供が言っていたら、第1章でのチェックシートで状態を調べつつ、子供に寄り添ってあげて心のケアもしてあげてくださいね。
4.子供が発症する可能性がある5つの足の病気
もしあなたの子供が急に足が痛いと訴えてきたら、まず真っ先に成長痛を疑うことでしょう。
しかし、先ほど言ったように成長痛という、正式な症状はありません。
浮き指や反張ヒザによる痛みである可能性が高いですが、それでも子供が足を痛がっている場合は、それ以外の足の病気も疑ってみてください。
子供(主に幼児~中学生ぐらいまでの子供)の足が痛くなる原因としてあげられる5つの代表的な足の病気があります。
・オスグッド
・骨肉腫
・ペルテス病
・むずむず症候群
・第一ケーラー病、第二ケーラー病
という5つの足の病気になります。
第4章では、子供特有の5つの足の病気について、ご紹介していきたいと思います。
4-1.オスグッド
*症状
成長期の子供(特に10~15歳ぐらい)に多い症状で、スポーツ障害の1つです。
ひざのお皿の下にある骨が、激しい運動などを繰り返すことで徐々に突出し、痛みを伴うことや熱が出て赤く腫れたりします。
足を動かさずに休んでいる時は痛みが治まるが、動き出すとまた痛みが出るのが特徴です。
*原因
筋力も弱く、骨の形成途中である成長期の子供が、ジャンプをしたり走ったりするなどの激しい運動をおこなうことで発症することが多いです。
主に、ジャンプする動作が多いバレーやバスケット、走ったりボールを蹴ったりする動作の多いサッカーなどをしている子供が発症しやすい症状です。
*対処方法
発症したら完治するまでに3ヶ月~6ヶ月ほど掛かり、発症中はなるべく激しい運動を控えたほうがいいです。
(特に3ヶ月~6ヶ月の期間中は症状が強まります)
もし運動をおこなう場合は、足のストレッチを念入りにおこない、オスグット用のサポーターを装着することをおすすめします。
また、運動後は必ずアイシングで冷やしながら、患部をマッサージしてあげてください。
(アイシングはビニール袋などに氷や水を入れたもので大丈夫です)
※もし痛みが激しい時は、すぐに病院へ行ってください
4-2.骨肉腫
*症状
骨肉腫とは骨にできる悪性腫瘍のことで、いわゆる「骨のがん」です。
10~20代の若い世代に発症する確率が高く、特にスポーツを活動的におこなっている少年期の頃に発病しやすいと言われています。
最初から激しい痛みを感じることはなく、軽い痛みが持続しながら発症していくため、筋肉痛と間違えやすい症状です。
*原因
原因に関しては、まだ明確なものが見付かっていません。
親からの遺伝や生活環境から発病するなど、諸説言われています。
*対処方法
予防に関しても、特別明確なものはありません。
筋肉痛のような症状が1週間以上続くようであれば、すぐに病院へ行ってください。
4-3ペルテス病
*症状
主に2~12歳の子供が発症しやすく、股関節~太もも辺りに起こる病気です。
激しい運動や長時間歩いたわけでもないのに、股関節に痛みを感じたり足を引きずったりします。
また、股関節を内側にひねる行為に一番痛みを感じることが多いため、多くの子供があぐらをかくことができません。
*原因
股関節付近の血流不足が原因だと言われているが、なぜ血液の流れが悪くなってしまうのかという理由は、まだ解明されていないのが現状です。
*対処方法
予防方法は特にありません。
強い痛みが1週間以上続くようであれば、すぐに病院へ行ってください。
4-4.むずむず症候群
*症状
むずむず症候群は、主に眠っている時などの体が停止している状態の時に起こりやすく、脚の内部がむずむずとかゆくなるような感覚、またはほてる・しびれる・虫が這うような感覚になる病気です。
脚を動かしている間は症状が治まる場合が多く、夕方から夜にかけて症状が強まることが多いです。
*原因
むずむず症候群も原因が特定されていません。
遺伝的な要素や体の代謝異常によるもの、薬の副作用によるものなどとも言われていますが、まだはっきりとは解明されていないのが現状です。
大人に多い病気ですが、子供も発症する可能性は十分にあります。
*対処方法
軽症の場合は、日常にウォーキングやストレッチなどの軽い運動取り入れて、定期的に脚を動かすことを意識しましょう。
むずむずとした違和感が毎日のように続いて、我慢できない時は、すぐに病院へ行ってください。
4-5.第一ケーラー病・第二ケーラー病
*症状
・第一ケーラー病は舟状骨(しゅうじょうこつ)という足の甲の部分
・第二ケーラー病は第2中足骨(だいにちゅうそくこつ)という足の土踏まずの辺りにある骨
それぞれの箇所が、腫れることによって痛みで歩きづらくなることや、重度の場合歩くことが困難になることもある病気です。
*原因
症状が起きるそれぞれの箇所で、血液の循環障害起こり、その部分が壊死してしまうことによって発症する病気になります。
・第一ケーラー病は4~5歳
・第二ケーラー病は思春期(12~15歳頃)
にそれぞれ発症しやすいと言われています。
*対処方法
この病気が発症したら、激しい運動はおこなわず、基本的に安静にしておくことが必要です。
歩く際は、骨に体重がかかって痛みが出るのを軽減するために、靴の中に土踏まずの部分を高くするアーチサポートの中敷きを入れて、サポートすることをおすすめします。
※もし痛みが激しい時は、すぐに病院へ行ってください
5.<まとめ>
今回この記事で、子供の足が痛くなる原因やその病気などについてご紹介し、チェックシートで確認をしてもらいました。
ただし、チェックシートは活用してほしいのですが、もしあなたの子供が目の前で足を痛そうにしていたら、何よりも先に病院へ行くということを優先してくださいね。
【参考書籍】
・笠原巖『お母さん!子どもの足が危ない!一生の足は10歳までに決まります。』宝島社、2013