ストレスとは、大人だけでなく子供も感じるもの。ストレスはときに人を成長させますが、あまりに重いストレスは人を傷つけてしまいます。
親御さんの中には、「子供がストレスを溜め過ぎていないか心配」という方ももちろんいるでしょう。このページは、そんな親御さんにおすすめです。子供のストレスサインに気付き、きちんと手を差し伸べてあげることで、健やかな子に育っていくことでしょう♪
目次
1. 子供がストレスを感じると、どんなサインが出てくるの?
まずは、ストレスを抱えた子供には、どんなサインが出るのかを見ていきましょう。
「分かりやすいサイン」「分かりにくいサイン」とありますが、お子さんの様子をよーく見てみてください。「なんだかおかしいかも…」と感じる点があるかもしれません。
(お子さんによっては、例でご紹介しているサインとは、異なるサインが出ることもあります)
1-1. 子供の体に出るストレスサイン
風邪でもなさそうなのに、以下の状態になっていたら要注意。子供が何らかのストレスを抱えている可能性があります。
―体に出るストレスサイン例―
- 熱を出している
- 頭痛を訴える
- 体のダルさを訴える
- から咳が出ている
- 首や四肢を痛がっている
- 蕁麻疹が出ている
- お腹を痛がっている
- 嘔吐をしている
- 下痢をしている などなど
1-2. 子供の行動に出るストレスサイン
子供のストレスサインは、体に出るものだけではありません。お子さんの日々の行動にも現れることがあります。
―行動に出るストレスサイン例―
- 食欲がない
- 口数が減った
- 歯ぎしりをする
- 集中力がすぐに切れる
- 学校に行くのを嫌がる
- 甘えん坊になる
- よく泣いている
- 自傷行為をする
- 言葉や行動が暴力的になる
- 髪の毛を抜いている
- よく眠れなくなる
- 視力が突然落ちる
- ソワソワしている
- 爪噛みをする
- 吃音になる
- 鼻血が出る
- ※チック症が出る などなど
※チック症とは
…頻繁にまばたきをする・咳払いをする・汚い言葉を口にするなど、チックにも様々なサインがあります。
2. 子供がストレスを感じてしまう原因って?
次に、子供がストレスを抱えてしまう原因についてお話ししていきます。「うちの子は、どんなことで悩んでいるのかな?」と考えながら読んでみてくださいね。
(この章にある原因は、あくまでも「例」です。生活をしていると、他にもストレスの原因となりえるものはあるでしょう)
2-1. 子供がストレスを抱えやすい性格である
子供自身の性格によって、ストレスを溜めやすい状態になっていることがあります。具体的にどんな性格の子かというと、「気遣いをしすぎる子供」や「頑張りすぎる子供」です。
2-1-1. 「気遣いをしすぎる子供」はストレスを溜めやすい傾向に
周りの人についてしっかりと考え、適切な行動をしようと努めるのは、とても素晴らしいことだと思います。
しかし、周りの人に気を遣いすぎる子供は、自分のことを押さえて、ストレスを感じてしまう場面が多々あるでしょう。また、人に相談することも苦手な場合は、ストレスを吐き出せず、子供自身の心をますます苦しめてしまいます。
―気遣いをしすぎる子供・例―
- 他人からの注意を、必要以上に気にしてしまう子供
- 何でも先回りして行動しようとする子供
- 少しでも友達関係が不安定になると、すごく心配になってしまう子供 などなど
2-1-2. 「頑張りすぎる子供」もストレスを溜めやすい傾向に
何でも頑張る子も、ストレスを溜めやすいので注意してください。
頑張っているうちに、心身ともに疲れやすくなり、ストレスを感じやすい状態になってしまいます。また、頑張りすぎる上に、完璧主義で負けず嫌いだと、いつでも手を抜けなくなってしまい、より一層ストレスを感じてしまいます。
―頑張りすぎる子供・例―
- 勉強や部活に一生懸命励み、ゆっくりする時間があまりない子供
- 親や先生に認められようと、常に必死である子供
- 周りの子の成績と、自分の成績を思わず比べてしまう子供 などなど
2-2. 子供は年齢によって感じやすいストレスが異なる
子供は年齢によって、感じやすいストレスが異なります。もしかすると、あなたのお子さんは、年齢特有のストレスで悩んでいるのかもしれません。
2-2-1. 小学校入学前の子が感じやすいストレス
小学校入学前の子供は、「自分の思っていることが上手く表現できない」「やりたいことを上手にできない」ということで、ストレスを溜めがちです。
―小学校入学前、子供のストレス例―
- 自分が抱えている不安を、思うように伝えることができない
- ごはんを上手に食べることができず、いら立ちを感じる
- 言葉で不満を表現できず、親が気づいてくれない などなど
2-2-2. 小学生が感じやすいストレス
周りから自分がどう思われているのかが、少しずつ気になりだします。「勉強やスポーツができないこと」や「人間関係」に悩みやすいです。
―小学生のストレス例―
- 水泳の授業中、上手に泳げないことが辛い
- 学校の授業についていけない
- 友達が自分の悪口を陰で言っていた などなど
2-2-3. 中学生・高校生が感じやすいストレス
大人に近づく、とても複雑な時期です。親御さんとの距離感が分からなくなったり、受験によるストレスを抱える子もいます。
―中学生・高校生のストレス例―
- 親の期待が重く感じる
- 「受験に失敗したら」という考えが止まらない
- 勉強すること自体が嫌になってしまう などなど
2-3. 家庭で生まれるストレスの原因
子供に適した家庭環境で、心も体もすくすくと成長してほしいところ…。しかし、以下のような家庭環境だと、子供がストレスを感じて、しんどくなってしまう可能性があります。
―家庭でのストレス原因例―
- 両親の仲が悪い
- 兄弟関係が上手くいっていない
- 親御さんからの過度なプレッシャー
- 家族間でのコミュニケーション不足
- 経済状況が安定していない などなど
2-4. 学校で生まれるストレスの原因
学校に通っている子供は、学校でもストレスの原因と出くわすことがあるでしょう。具体的には、以下のようなことです。
―学校でのストレスの原因例―
- 成績が悪化してしまう
- 友達との関係がよくない
- 先生との関係がよくない
- 部活動で思うように活躍できない
- 受験へのプレッシャー などなど
3. 親は、ストレスを抱えている子供に何ができるの?
「うちの子、ストレスを抱えてるみたい…」と思ったら、親御さんは子供にどんなことをしてあげるべきなのでしょうか?
比較的実行しやすいと思われるのは、以下2つの方法。
- 子供の話をしっかり聞く
- 子供の気持ちを考える
基本的なことですが、意外とできていない方が多いのでは…? 親御さんが「どうしよう!」と焦るのではなく、落ち着いて子供と向き合いましょう。
3-1. ストレスを抱えている子供の話をしっかり聞く
まずは、子供の話をしっかり聞いてあげてください。その際は、子供の意見を否定しないよう気をつけます。これは、否定してしまうと、子供が話したくなくなってしまう可能性があるからです。
「お母さん(お父さん)になら、ありのまま話せる」と子供が思い、安心できるようにすることがすごく大事です。
まずは、親御さんが子供の心を純粋に受け止めてあげてくださいね。そうすることで、ストレスの背景がよく見えてきます。話した子供も、ストレスを言葉にし、思いっきり吐き出すことで、心が少し楽になることでしょう。
3-2. ストレスを抱えている子供の気持ちを考える
子供が抱えているストレスの原因を知ったら、それにより子供がどんな気持ちになっているのかを考えてみましょう。その上で具体的な解決策を探していきます。
取り除けそうなストレスの原因は取り除き、子供の暗い気持ちを、明るくできるような方法を探してみてくださいね。
―「うちの子、ストレスに弱いかもしれない」と思ったら―
「子供のストレス耐性を強くしたい」と考えている親御さんに、とっておきの本があるのでご紹介しておきます。
合同出版から出ている「イラスト版 子どものストレスマネジメント: 自分で自分を上手に助ける45の練習(著・伊藤 絵美)」が子供のストレス耐性を強くするのに、すごく役立つでしょう。
ワークブック形式になっており、「どうやってストレスと向き合っていけばいいのか」を学ぶことができます。かわいいイラストがたくさん使われていて、小学生くらいのお子さんでも楽しく学べるはずです。
ちなみに私はAmazonで購入したのですが、そのときは1,800円ちょっとでした。ぜひチェックしてみてくださいね!
4. すごく大事! ストレスで子供の心がつぶれてしまう前に、医師に相談する勇気!
「子供がすっかりふさぎ込んでしまい、本当に辛そう」「ストレスによるサインが長いこと続いている」という場合は、お医者さんに相談するのが一番いいです。子供の心が壊れてしまうことを避けるためにも、勇気を出してお医者さんに行きましょう。
子供の体調不良が目立つようであれば、まずは小児科やかかりつけ医を尋ねましょう。その際に、子供がストレスを抱えていることも、医師に伝えるようにします。体調不良がストレスによるものの場合は、おすすめの精神科を紹介してもらってくださいね。
子供の心の傷が目立つようであれば、子供も診察可能な精神科を尋ねましょう。精神科に行く場合は、事前に電話をし、子供も診てもらえるかを念のため確認するといいですよ。
子供を精神科に連れて行こうとすると、周りの人から「連れていかなくてもいいんじゃない?」と反対があるかもしれません。しかし、そんな周りの意見よりも、ずっと大事なのが「子供」ですよね。子供のためにも、親御さんが勇気を出しましょう。
―ひとまず、カウンセラーさんがいる施設を尋ねてみる―
「いきなり子供を病院につれていくのは…」「とにかく誰かに相談したい!」と思っている場合は、子育て相談可能なカウンセラーさんがいる施設を尋ねましょう。そこで、子供の状態を伝え、相談してみてくださいね。
5. 「子供のストレス」で片づけてはいけない場合
子供が単にストレスで苦しんでいるだけでなく、心の病にかかっている可能性もあります。
この章では、「どんな心の病気の可能性があるか」についてお話ししていきます。あなたのお子さんが、心の病にかかっている可能性があるのであれば、親御さんだけでどうにかしようとしないでください。カウンセラーや医師に相談し、適切な処置を取るようにしましょう。
5-1. 単なる子供のストレスで片づけないで!【うつ病】
以下のサインが「長く続いている」「強く出ている」「いくつも当てはまっている」という場合は「うつ病」の可能性があります。注意してください。
―子供のうつ病、サイン例―
- 頭痛、腹痛、熱が数日間おさまらない
- 乱暴になる
- 食欲がない
- あまり睡眠を取れていない
- いつもしんどそう
- 意欲的でなくなった
- 朝起きが苦手になった
- めまいを感じている
- 動悸が気になっている などなど
5-2. 単なる子供のストレスで片づけないで!【不安症】
不安症にはいくつか種類があります。あなたのお子さんの状態と、照らし合わせて考えてみてくださいね。
5-2-1. 全般不安症
他人の気持ち・失敗・成績・時間など。「全般不安症」の子供は、将来起こるかもしれないことを、必要以上に心配してしまいます。
5-2-2. パニック障害
動悸・息切れ・胸の痛み・呼吸困難などに、突然陥ってしまうのが「パニック障害」。パニック障害再発の恐怖感がひどく、以前パニックを起こした状況を避けるようになります。
5-2-3. 社交不安症
「人前で行動するのが嫌」「友達があまりいない」「学校に行きたがらない」などが、社交不安症の特徴です。家庭だけでの治癒が難しいため、病院に行くことが必須だと考えてください。
5-2-4. 限局性恐怖症
高所・閉所・水・血・動物など、特定の状況や物に対して、強い恐怖感を覚えてしまうのが「限局性恐怖症」。恐怖感を覚える対象を、避けて生活することを望みます。
5-2-5. 強迫症
戸締りの確認をしつこいほど行う、手を何度も洗うなど。他人からしたら、あまり意味のない行動を繰り返しますが、当本人はやらなければ不安になってしまいます。
5-2-6. PTSD(心的外傷後ストレス障害)
事件・事故・災害などの恐ろしい体験によって、子供の心が傷つくと「PTSD」になることがあります。何度も思い出してしまい、辛い思いをすることに。
5-3. 単なる子供のストレスで片づけないで!【適応障害】
辛い思いや、身の周りの環境変化などがキッカケで起こる「適応障害」。子供が自分の置かれている環境に馴染めず、気分の落ち込み、体調不良などを感じるようになってしまいます。
また、自閉症・アスペルガー症候群・多動性障害などの発達障害がもともとあり、結果として、適応障害が出てきてしまうこともあるようです。
6. まとめ
以上、子供のストレスについてなるべく詳しくお話ししました。
とても大切なことなので何度も言いますが、「子供がストレスでおかしくなってしまうかも…」と思ったら、無理をしないで、カウンセラーさんやお医者さんを頼ってくださいね。
親御さんだけで、「子供のストレスをどうにかしよう」と抱え込むことはないのです。子供の心に詳しい専門家に相談することで、お子さんはいち早く元気になるでしょう♪
【参考書籍】
・土井 高徳『ちょっとしたストレスを自分ではね返せる子の育て方』青春出版社、2016
・富田 富士也『ストレスから子どもを守る本』PHP研究所、2000
・笠原 麻里『子どもの心をストレスから守る本』講談社、2010
・伊藤 絵美『イラスト版 子どものストレスマネジメント: 自分で自分を上手に助ける45の練習』合同出版、2016