赤ちゃんアトピーかも?と思ったらすぐに始めるべき対処法

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「赤ちゃん アトピー」アイキャッチ画像

あなたの赤ちゃんの肌にトラブルがあって「アトピーかも?」と思っているならば、大事なのは「清潔」「保湿だというのを覚えておいてください。

 

赤ちゃんの肌に赤みがあってかゆそうというだけでは、アトピーだと断定できません。
というのも、赤ちゃんは肌が弱くトラブルを起こしやすいため、以下のようなアトピーと似たような症状が出ることがあるからです。

・乳児湿疹
・脂漏性湿疹
・接触性皮膚炎
・汗疹(あせも)
・じんましん
・水いぼ
・とびひ
・疥癬(かいせん)
など

また、実際にアトピーだったとしても、病院でそう診断されるには時間がかかる場合があります。
それは、アトピーの定義の中に“増悪・寛解(悪くなったり、よくなったり)を繰り返す”かゆみのある湿疹とあり、症状の経過を見ないと判断できないからです。

 

そこで先ほどの「清潔」「保湿」を思い出してください。
病院に行ったものの、疑わしいけれどはっきりと診断されなかった場合でも、この2つを心がければ今起きている症状がよくなる可能性があります。

 

今回はアトピーについての知識と、すぐできる赤ちゃんの肌を改善する方法をご紹介していきます。

しかしながら、肌の状態は赤ちゃんによって異なり、赤ちゃんごとに合った改善方法を見つけるのが大事です。

合うか合わないかを判断するためにも、日々の赤ちゃんの肌の様子を写真に撮ったり記録に残しておきましょう。
医療的な治療を始めた後も、その治療方法が赤ちゃんに合っているかを客観的に判断できる材料になります。

クローバーと手

 

1.赤ちゃんアトピーの症状

小さな手と大きな手

アトピーとは、正式名称をアトピー性皮膚炎」と言います。
(今回の記事では、省略化したアトピーで説明していきたいと思います)

赤ちゃんは肌が弱いので、アトピーだけに限らずさまざまな肌トラブルがありますが、その多くは環境に慣れるために発症し、ほとんどの症状は1歳くらいまでに治ります。

その中で、悪くなったりよくなったりを繰り返すかゆみの強い慢性的な湿疹が起きた時に、アトピーと診断される場合があります。
「慢性的」とは、赤ちゃんの場合は一般的に「2ヶ月以上」を指します。

 

赤ちゃんの湿疹でアトピーとよく間違われるのが「乳児湿疹」です。
乳児湿疹は生後3ヶ月頃までにおでこや頬に出やすい湿疹のことで、赤ちゃんの初めての肌トラブルになることが多く、あわてて「アトピーかも?」と思われがちです。

しかし、乳児湿疹の場合も「清潔」と「保湿」をしっかりしておけば、大体1ヶ月ほどでよくなることがほとんどです。

では、アトピーはどのような症状なのか、特徴をご紹介します。

1-1.アトピー(湿疹)が出やすい場所

赤ちゃんアトピーは、以下のように頭や顔、首まわりに湿疹が出ることが多いです。

子供

・頭
・目のまわり
・頬
・口のまわり
・耳のつけね
・首

全体的に肌が乾燥していて、左右対称なのが特徴です。

また、悪化すると手足や体にも湿疹が出ます。

1-2.放っておくと怖いアトピーの重症化

黒板に!

病院ではっきり診断されなかったからといって、何もしないでおくとアトピー重症化する可能性があります。
アトピーの重症化とは、かゆみがひどくなり、かきむしって湿疹から黄色い汁(浸出液)が出るようになってしまうことで、全身がこのような状態になると脱水症状を引き起こす可能性があります。

さらに、かゆみによって眠れないような状態が続くと、赤ちゃんの成長に問題が起こることもあり得ます
そんな赤ちゃんの症状をみるあなたや他の家族も、眠れなくなったりストレスを抱えたりしてしまいます。

赤ちゃんのうちに重症化してしまうと治りにくくなり、大人になってからも肌トラブルに悩まされてしまうかもしれません。

そうならないためにも、赤ちゃんのうちに症状を少しでも軽くしてあげるように対処するのが大切です。

 

2.アトピーの原因

子供を抱くママ

アトピーの原因は赤ちゃんによってさまざまで、複数の原因で発症したり時期によって変わったりします。

アトピーだけではありませんが、肌トラブルを持つ子が100人いたら100通りの対処法があると言われています。

いろいろと原因を探りながら、その子に合う“オーダーメイド”の対処法を見つけてあげるのが重要です。

 

基本的に、アトピーを持つ赤ちゃんのほとんどに共通しているのは、以下の2点です。

・肌が乾燥していることによって、外からの刺激に弱くなっている状態の「ドライスキン」である
・血液検査の結果、かゆみなどのアレルギー反応を起こす「IgE抗体」が作られやすい体質である

 

また、以下の要因も、アトピーの原因や悪化因子(症状を悪化させる原因)として、関係していると考えられています。

・ダニ
・カビ
・ほこり
・汗
・花粉
・ペットの毛
・お風呂の水
・ストレスや疲れ
・遺伝
・食べ物

カビダニなど

赤ちゃんの肌がドライスキンの状態だと、ダニやカビなどの原因に対してバリアができていない状態になります。
そうすると、かゆみなどのアレルギー反応を起こすIgE抗体が体の中でたくさんできてしまい、湿疹が長く続いてアトピーになってしまうことがあるのです。

上記の原因を見ると「清潔」と「保湿」である程度は防げると思いますが、「遺伝」と「食べ物」については気になる人が多いと思うので、詳しくご紹介します。

2-1.アトピーの原因【遺伝】

あなたは「自分がアトピーだから赤ちゃんまでアトピー持ちになってしまった」と思っているかもしれません。

確かに、両親ともにアレルギー病を持っていると、生まれてくる子供の約40~70%が同じくアレルギーがあり、片方の親だけの場合は、約40%が1歳半までになんらかのアレルギーを発症するという報告があります。

しかし、同じ遺伝子を持つ双子で調べたところ、2人とも同じアレルギーを発症する確率は50~60%ほどと言われています。
つまり、同じ遺伝子を持っていても、必ず同じアレルギー症状(アトピーを含む)を発症するとはいえないのです。

アトピーやほかのアレルギー症状は、体質や環境によって発症するかしないか変わってきます。
もしあなたが赤ちゃんの湿疹が自分のせいかもしれないと思っていたら、遺伝だけが原因ではないので安心してください。

2-2.アトピーの原因【食べ物】

食事する子供

食物アレルギーとアトピーは混同されがちですが、違う病気だと思ってください。

食物アレルギーとアトピーを一緒に発症していて、食物アレルギーによってアトピーが悪化することはあります。
それぞれの症状に対してきちんと対処するのが大事です。

赤ちゃんは消化機能が未発達なので、食事を始めたばかりのころは、アレルギー反応を起こしてしまいがちです。
アトピーの症状がある状態では、どの程度のアレルギー反応が出たのか判断しにくいので、まずは肌をきれいな状態にしておきましょう。

食物アレルギーの検査も含め、アトピーなのかどうなのか気になったら、専門の医師に相談するのが最善です。

また、最近では料理に使う油がアトピーを悪化させていると言われています。

まだ離乳食の段階では油を使うというのは少ないですが、ある程度食べられるようになってからアトピーがひどい場合は、油をαリノレン酸系のしそ油、あまに油などに変えてみてください。

αリノレン酸の油は熱に弱くて酸化しやすいので、加熱調理には使わず、できた料理の仕上げにかけて食べるなどの摂取方法がおすすめです。

2-3.アトピーの原因【その他】

赤ちゃんアトピーを含む肌トラブルの原因の多くは、上記に挙げたダニやカビ、汗などが関係しています。

他にも、着ている服の素材だったり使っている石けんの素材だったりと、さまざまな原因があるかもしれません。

清潔と保湿を心がけながら、何が原因なのか常に気をつけておきましょう。

 

3.お家でできるアトピーへの対策

アトピーだと診断される前でも湿疹が気になるようだったら、家での環境を整えることで症状の改善が期待できます。

掃除

3-1.お家でのアトピー対策【清潔な住環境作り】

掃除機

赤ちゃんアトピーを発症する原因となりやすい、ダニ、カビ、ほこり、花粉などに対して、具体的に下記のように対策をとります。

 

【ソファ】
革製などの表面がツルツルしたもののほうが、ダニやほこりがつきにくい。
布製のソファには、カバーをしてこまめに洗濯をする。

【床】
こまめに掃除をする。
カーペットが敷いてある場合は、掃除機をていねいにかけ、洗濯できるならこまめに洗濯をする。

【ふとん、枕】
晴れた日に、こまめに干して乾燥させる。
乾燥させた後は、ふとん用ノズルなどを使って掃除機をかける。
ただし、花粉が原因と考えられる場合は、時期によって外干しを控える。

【ぬいぐるみ】
ダニのすみかになる可能性があるので、丸洗いできるものを選び、こまめに洗濯する。

【カーテン】
ほこりがたまりやすいので、掃除機をかけたり、洗濯をする。

【お風呂場、キッチン、洗濯機】
水まわりはカビが発生しないように掃除して換気をする。

【窓】
カビの原因になるので、結露がたまらないようにする。

【エアコン】
フィルターをこまめに掃除して、カビやほこりを発生させないようにする。

 

室内はこまめに掃除をして、清潔な環境を保つようにしましょう。
冬は乾燥しないようにある程度の湿度が必要ですが、加湿器を使う時はカビが発生しないように注意します。

ペットは毛や分泌物が症状の原因や悪化因子になる可能性があるので、できれば飼わないほうが望ましいです。
ですが、すでに飼っている場合は掃除をていねいにおこなうようにします。

3-2.お家でのアトピー対策【肌をきれいにするお風呂の入り方】

タオルの上にアヒル

症状がひどい場合はお風呂に入れるのをためらうかもしれませんが、肌も清潔にしておかないとアトピーは改善されません。

お風呂に入ると症状が悪化するという人がいるかもしれませんが、シャワーや湯船の水の塩素を除くようにするとよくなったという報告があるので、工夫をして入るようにしてください。

 

お風呂に入れる時のポイントを以下にまとめました。


・石けんは過剰に香料や添加物などが入っていない、普通の石けんをよく泡立てて使う
・洗う時はスポンジやタオルを使わずに素手でしっかりと洗う
・泡のすすぎ残りやシャンプーなどの液が体に残らないように、頭→顔→体の順番で洗う
・関節や手足の指など、しわになっているところは伸ばしてしっかり洗う
・お風呂の水は塩素除去する。シャワーヘッドを専用のもの(4000円程度~)に変え、湯船には
 薬局などで買えるビタミンCの粉末(2000円程度)を0.5~1.0gほど入れると塩素除去ができる
・1日に朝と夜の2回の入浴が望ましい
・お風呂からあがった後は、タオルでゴシゴシこすらず、ポンポンとたたくように拭く
・薬がある場合は、湿疹のあるところに薬を、他の部分には保湿剤を塗る
 体が乾燥する前に、お風呂から出たらすぐ(なるべく3分以内)に塗るようにする


肌の汚れをしっかり落として、しっかり保湿しておくのが大事です。

3-3.お家でのアトピー対策【日常生活で注意すること】

肌への刺激を少なくするのも、アトピーなどの肌トラブルを改善していくのにつながります。
具体的には以下のような点です。

・かゆい時にかきむしらないようには短く切る
・首もとに髪の毛がかからないように短く切る
タバコの煙に触れないようにさせる
・紫外線を過剰に浴びせないように、UV対策をする
洋服の素材は肌に優しいもの(綿など)を選ぶ

何が赤ちゃんの肌を刺激するかを生活の中で気にしながら、悪化因子を取り除いていきます。

 

4.<まとめ>

花と子供

赤ちゃんアトピーだとしたら、「この子はずっとアトピーに悩まされるのかもしれない」と落ち込んでしまうかもしれません。

しかし、アトピー正しく対処すれば症状をコントロールでき、湿疹を抑えられます。
そして、肌のよい状態が続けば、何の支障もなく日常生活を送っていけます。

症状がよくなったり悪くなったりする場合もありますが、ひどい時は医師と相談しながら、赤ちゃんの肌がきれいになるようにあなたができることから始めてみてくださいね。


【参考書籍】

・赤澤 晃『正しく知ろう 子どものアトピー性皮膚炎』朝日出版社、2010

・永倉 俊和『赤ちゃんと子どものアレルギー&アトピーBOOK』主婦の友社、2016

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